梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

武田邦彦氏の《反論》

 9月末のブログで中部大学教授・武田邦彦氏がヨーロッパにおけるコロナ死者数について言及している。氏が示した棒グラフを見ると、(9月初旬までの)100万人当たり死者数は、ベルギーが最も多く880人台、次にスペイン、イギリスが610人台で続き、以下イタリア、スウェーデン580人台、フランス480人台、オランダ370人台、スイス、ルーマニア200人台、ドイツ、デンマーク、ブルガリア、セルビアが100人台であった。一方100人未満はポーランド、ウクライナ、ハンガリー、オーストリアでありギリシャ、チェコは(日本と同程度で)10人前後であった。
 テレビ、新聞は上記の実態を「正確に報道せず」、スペイン、イギリス、イタリア、スウェーデン、フランス《だけを》《ことさらに》採りあげて(強調して)、ヨーロッパの実態だと報道している、と武田氏は指摘している。なるほど、ヨーロッパでも、ギリシャ、チェコのように日本と同様に死者が少ない地域があるということがわかった。しかも、ヨーロッパで流行しているコロナウィルスの型は「同一」だという。
 だとすれば、日本の患者数、死者数が世界の中で少ない(ドイツの10分の一)理由をウィルスの「型」に求めることはできなくなる。 
 京都大学教授・上久保靖彦氏は、今回のコロナウィルスはS型、K型、G型と変わっていった、日本で流行したのは(病毒性が弱い)S型、K型であり、ヨーロッパ、アメリカでは(病毒性が強い)G型が蔓延したという「仮説」を唱えたが、それに対する「反論」ということになる。
 今後は、①(地続きの)ヨーロッパで死者数の多い国と少ない国が並存するのは何故か、②少ない国ではどのような対策を講じたか、③多い国と少ない国のウィルスは(本当に)「同一の型か」について究明することが、専門家の課題である、と私は思った。
(2020.10.2)