梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

《巣ごもり》宣言

 今日は「ひな祭り」である。だがしかし、ぼんぼりに灯りをつけたり、桃の花をあげたりする「ゆとり」は国民にはない。新型コロナウィルス感染から身を守るために《巣ごもり》に入っているからである。政府はここ1~2週間が「終息か拡大か」の瀬戸際であり、正念場だとし、全国の学校に休校を要請、また様々なイベント、スポーツ、興業等の自粛を求めている。「国民の安全と生活を守る」と言いながら、国民が今、どのような生活を強いられているか、気づいていない。否、知りすぎるほど知りながら、「知らぬ半兵衛」を決め込んでいる。今、国民は「感染拡大を防ぐために」マスクを着用しようにも、容易に手に入らない。使い捨て1枚が通常なら10円程度だろうが、通販(アマゾン)の広告では最安値でも30枚入り1000円(1枚33円)、なんと1枚あたり100円~300円の商品が大手を振って歩いているのだ。その要因は原材料不足ではなく「買い占め」、この危機を「金儲けに」利用している連中(悪徳業者)の仕業なのである。品不足、価格高騰はトイレットペーパー、キッチンペーパー等の日用品、さらに食料品の米にまで及んでいる。
 政府は「感染拡大を防ぐ」つもりなら、まず、国民が「安心して日常生活を送れるように」、必要物資を供給する体制を具現化しなければならない。
 国民は《巣ごもり》に入り、この1~2週間、政府が何をするか、注意深く見守っている。まず第一に、悪徳業者の企てを粉砕し、日常に必要な品々を《通常の価格》で供給できるようにするか。
 次に、感染者の拡大をどれだけ抑えられるか。今日の時点で「国内での感染者」は260人、クルーズ船の乗船者、チャーター機帰国者を含めれば980人(世界のワースト5位)だが、《新たに19人感染》が確認された。今後2週間にわたって、この《19》という数字がどのように変動するかを、国民は注視し続ける。
 さらに、死者の数は12人、感染者の1.2%だが、その人数、割合がどのように変動するか。その値を最小限にとどめることが政府の責務なのである。
 政府が、ここ1~2週間が「終息か拡大か」の瀬戸際であり正念場と言うのなら、国民は《巣ごもり》に甘んじつつ、その言辞をそのまま、《「内閣の存続か退陣か」の瀬戸際、正念場と覚悟せよ》と返答するほかはない。
(2020.3.3)