梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)精読(2)・はじめに・謝辞

【要約】
《はじめに》(太田昌孝・永井洋子)
・世界に自閉症が初めて報告されて50年、東大精神神経科に発達障害児を対象としたデイケアが開かれて25年になります。
・当科のデイケアにおいて(も)、自閉症の治療は保育的なアプローチから始まり、世界的な動向とともに行動療法を取り入れた時期を経て、本書にまとめた「認知発達治療」に集約する方向へと歩んできました。
・本書は、世界的な視野での研究の成果を取り入れつつ、私どもが蓄積してきた研究と臨床経験により到達した自閉症治療の理論と実践をまとめたものです。
・自閉症に関してはまだ十分に原因が解明されておりませんが、治療や指導は今日までに明らかにされた科学の成果に立脚し、子どもたちの人間的な成長をめざす方向で行われなくてはならないと思っています。
・私どもが臨床の中で試行錯誤を繰り返すことによって開発し高めてきた「太田のStage」による「認知発達治療」の理論と実践を少しでも広く、医療、教育、福祉などの臨床の現場に役立てていただき、自閉症の治療と研究の土台としてさらに発展させていただくことを願って、以前より本にまとめる企画をしておりました。
・本書をまとめるにあたり、まず第1に、自閉症の表象機能障害をふまえた認知発達的な観点から、理論と実践を一貫したものとして統合すること、第2に、自閉症の治療教育の実践の場に有用に活かせるものにすること、第3に、治療教育的な観点に加えて、家族の問題、薬物療法、生物学的研究、遺伝研究などの側面から臨床経験と最近の知見をまとめることにより、総合的な治療と研究の方向性をさぐること、の3点を目標としてきました。・本書のタイトルを「自閉症治療の到達点」としましたが、もとより本書の内容は完成されたものではなく、その時代の到達点は常に次の時代への出発点でもあります。
・(本書に書かれている)自閉症の治療の観点は、発達障害に対する総合的な治療を考える点で、また認知発達の評価と発達に合わせたプログラムという点で、精神遅滞や学習障害など他の発達障害にも十分応用し、活用できる内容となっております。
・本書が自閉症および他の発達障害の治療と指導のための礎となることを心から願っております。(1992年9月)  
《謝辞》(要約)
・以下の方々に深く感謝の意を表します。
・東大病院諸関係者、同精神神経科の諸兄姉、当科小児部門の旧職員、小児部に通院した子どもたちと御家族の皆様、行事をはじめさまざまに御協力頂いたボランティアの方々。
・小児療育相談センター所長(元・東大精神神経科小児部門責任者)佐々木正美先生
・東大精神衛生・看護学講座の教授 栗田宏先生
・前東京都児童相談センター所長 上出弘之先生
・現横浜リハビリテーションセンター 清水康夫先生
・全国療育相談センター、畑中子ども研究所もスタッフの皆様
・研究助成をしてくれた厚生省(1981年~1986年)、三菱財団(1986年)、安田生命社会事業団。
・当デイケアの親の会・銀杏の会に事業助成してくれた、東京都文京区。
・本の出版に御配慮をいただいた日本文化科学社の星吉弘氏、出版社の方々。
【感想】
 ということで、まずは〈「太田のStage」による「認知発達治療」の理論と実践〉がどのようなものであるか、大いなる期待をもって、読み進めることにする。(2014.1.2)