梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「急性心筋梗塞」病状記・2・《胃がん》

 昨日、看護師から「明日また吐き気がでるようでしたら、外来で受診してください」と言われていたので、朝から吐き気がでるかどうか興味津々であった。起床直後はなかったが、空腹感と同時に吐き気が始まった。「・・・やっぱり」。急いで朝食を済ませ、10種類の薬を飲む。しばらくすると吐き気は治まるが、9時30分を過ぎるとまた起きる。10時過ぎ、私は受診を決め、病院へと向かった。内科外来で待機していると、看護師が来て、これまでの経緯を尋ねる。私の話を聞いているが「この人は何を希望しているのだろうか」、今ひとつ真意がわからないという素振りであった。「主治医の先生に確認しますので、しばらくお待ちください」ということで、また待機。「お待たせしました。先生の話では、吐き気の原因を探るためには、消化器を調べる必要があるということでした。胃カメラの検査をしますか?」。なるほど、言われればその通りだ。
 私の父は61歳の時「心筋梗塞」を発症、一命をとりとめたが、以後服薬を続け、6年後67歳で病死した。その病気は意外にも「胃がん」、心臓病の服薬が胃に大きな影響を与えたのではないか、と思った。今回も同様に、心筋梗塞に加えて前立線肥大の薬も加わっている。父と同じ経過を辿ったとしてもおかしくはない。そのとたん、私は妙に「サバサバした気持ち」になった。そうか、いよいよ「その時」が来たのか。もうジタバタするのはやめよう。あとは、なりゆきまかせ、すべての事態を受け入れよう。
 看護師が「どうします?」と尋ねたので「わかりました。しばらく様子をみることにします」と答えた。「では血液検査をしますか?」。ともかく現在の状態を知っておくことは大切だと思い「ハイ、お願いします」と応じると、看護師はようやく真意が飲み込めたという様子で「わかりました」と言い、検査の手配をしてくれた。
 診断検査は、①血液検査、②心電図検査、③胸部レントゲン検査を実施、最後に担当医に呼ばれた。結果は7月21日の救急時と同じ、担当医も同一人物であった。検査の結果、循環器内科の立場からは「大きな問題はなし」、「後は胃カメラで消化器の実態を調べるだけです」「わかりました」「胃カメラの検査をしますか」「しばらく様子を見て決断します」「どうして?結果がわかれば早く対処できますよ」「・・・・・」「それでは主治医の先生にもよく相談して今後のことを決めてください」「わかりました。ありがとうございました」ということで診察は終了となった。
 父は「胃がん」の発見が遅れ、がんの摘出手術10カ月後に他界した。その事例を参考にしながら、今後の対応を考えることにする。「吐き気」の要因⑤は、「胃がん」の前兆かもしれないということがわかっただけでも、大きな収穫であった。
(2018.8.8)