梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「急性心筋梗塞」病状記・1・《吐き気》

 猛暑日の連続は「病み上がり」には辛い。「2時間起きて1時間横になる」から「4時間起きて2時間横になる」生活になってきたが、突然おそってくる「吐き気」「倦怠感」と向かい合わなければならない。昼間に眠り、夜中に起きることも珍しくない。夜はぐっすり眠りたいという思いで、昨晩は退院後はじめて「缶ビール」(小)を飲んだ。20時頃床につき、目が覚めると午前0時であった。血圧は120(70)、脈拍は62~67、数値に異変はなかったが、以後「吐き気」のため全く眠れない。1時40分・血圧160(115)、脈拍67~71、3時40分・血圧160(118)、脈拍71~78、6時30分・血圧160(117)、脈拍77~79、7時20分・血圧180(131)、脈拍90~92、という経過であった。
 幸いにも今日は通院予定日だったので、朝一番で受診した。主治医に経過を話し、血圧を測定する。なるほど「上が170、下が100、高いですね。では、血圧を下げる薬を追加しましょう。寝る前に飲んでください」「吐き気が治まらないのですが、薬の副作用でしょうか」「夏バテでしょう」。医師はほとんど「意に介さない」様子で、受診は終了した。
 私が向き合っている「吐き気」「倦怠感」の要因は何か。考えられるものは以下の3つである。①「熱中症」による脱水症状、②「高血圧」に伴う症状、③服用薬の副作用。  ①については十分に思い当たる。自宅は鉄筋コンクリート2階建て(屋根は平面)、35度を超える熱気が2階全体を覆い尽くす。しかも、居間、キッチン、寝室はすべて2階にある。エアコンで25度以下に室温調節しているとはいえ、病院・病室のようにはいかない。経口補水液で水分補給、モーツアルトのCDを聴きながら横にな日が続いている。②はネット情報である。「高血圧性脳症」の場合、頭痛と吐き気、嘔吐をを伴うとある。これまでの経過をみると、血圧が低い時でも「吐き気」はあった、また頭痛はほとんどない、ということでこの要因は当たらないかもしれない。③は7月21日の救急医や、今日の主治医が否定しているので、従うほかはない。 
 通院より帰宅し、「吐き気ぐらいでジタバタするなということか」と思い直し、しばらく我慢していたが、夕方には血圧158(114)、脈拍102まで上昇したので、病院の内科外来に電話した。応対した看護師は、今日の経緯を聞いて「主治医の先生が処方した薬を飲んで様子を見てください。もし変化がなければ救急で受診してください。服用後、落ち着いても、明日また吐き気がでるようでしたら、外来で受診してください」。なるほど、私自身はすぐにでも受診したいと思ったが、やはり従うほかはない。しかし、主治医の処方した薬は「寝る前に1錠」である。時刻はまだ17時。私は早めの夕食を摂り、寝る前の薬を飲んで18時には就寝することにした。「もし20時までに吐き気が治まらなかったら、救急で受診しよう」。
 しかし、目が覚めたのは24時、「吐き気」はほとんど消失していた。
 あの吐き気は何だったのだろうか。看護師も医師も「吐き気」だけでは意に介さないようだ。必ず「ゲーゲー吐いていますか」と確認する。専門家にとっては「吐き気」とは「嘔吐」を伴わなければ問題視しないのか。これまで、私が吐き気を感じるのは「二日酔い」の時だけであった。「吐いてしまえば楽になる」と思って(楽になりたい一心で)「ゲーゲーした」経験は少なくなかった・・・、などと考えているうちに、ふと思いついた。そうか!、今日の吐き気はもしかして「二日酔い」?、たしかに昨晩、「缶ビール」(小)を1缶飲んでいたではないか。要因④として「二日酔い」があるかもしれないことに気づいたのである。 
 しかし「明日がある」、明朝目覚めたときまでに「吐き気」は完全に治まっているだろうか。 (2018.8.7)