梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

安倍首相は「裸の王様」

 東京新聞3月18日付け朝刊(2面)に、佐藤正明氏の漫画が載っている。タイトルは「モリジゴク」、国会議事堂をバックに大きな穴、その底には森友学園籠池元理事長が大きな口を開けて待っている。穴の斜面をずり落ちそうな二人の女性、一人は稲田防衛相、独りでもがいている。もう一人は安倍首相夫人、安倍首相の手にしがみついて宙ぶらりん状態、安倍首相の右足は辛うじて穴の外に残っているように見えるが、左足は斜面の中、まことに心もとない。三人とも籠池氏の餌食になるのは時間の問題であろう。その様子を穴の外で眺めている二人の男性、一人は鴻池衆院議員、立ち上がって「無礼者が!」と叫んでいる。さて残りの一人は、地面に両手を着き、腰をかがめて安倍夫妻の様子を、こわごわと見つめている。メガネをかけているこの男性は誰だろうか?・・・多分、大阪府・松井知事?
 いずれにせよ、「森友学園」問題は、安倍首相の存在を不快に感じている政治家連中が仕掛けた《罠》であることはたしかなようである。しかも、その政治家連中とは、他ならぬ与党の面々であろうことも十分に予測できる。17日の衆院《外務?》委員会で、安倍首相は「学園への国有地売却や小学校の認可に私も妻も事務所も、全く関与していないし、寄付金集めに全く関わっていない」と強調する一方で、首相夫人と籠池氏の妻が今月7、8日まで連絡をとっていたことを明らかにした。《全く関わっていない相手と、連絡をとっていた》という説明は、小学生でもわかる矛盾である。安倍首相は「関わっていないのは寄付金集めであり、それ以外の関わりは今もある」と言いたいのだろうが、《今も関わりがある》ことに変わりはない。安倍首相は当初(2月17日)、「私や妻、事務所を含めて一切関わっていない。関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と明言したはずである。もはや、弁解の余地はない。いよいよ「首相も国会議員も辞める」時が来たようである。 
 佐藤正明氏はそのあたりの状況を「モリジゴク」という漫画で見事に描出しているが、残念ながら、肝腎な《罠の仕掛け人》は登場しない。それとも、大阪府知事、大阪維新の会周辺の関与を仄めかしているのだろうか。
 いずれにせよ、安倍首相は、いわば「裸の王様」然、籠池氏同様、気がついた時には側近、部下、仲間の面々が一人残らず消失していたなどという奇譚は十分にあり得るのである。 (2017.3.18)