梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

沖縄を裏切ったのは誰か

 普天間移設問題で罷免された福島社民党首は、「沖縄を裏切ることはできない」と言って閣外へ去ったとのことだが、民主党同様、前回の衆院選で「国外・県外移設」を公約して、「タナボタ」的に政権(の一部)を担当してきた立場からすれば、結果としてその公約を実現できなかったことに変わりなく、福島社民党首もまた「沖縄を裏切った」ことになるのだということを、御存知か。福島氏は閣僚の一員として何をしたか。「国外移設」を実現するために、どんな取り組みを行ったのか。最低でも「県外」というのなら、その移転先をどのように模索したのか。自分の意見・見解を「述べる」だけなら誰でもできる。沖縄県民の「声を聞く」ことなら誰でもできる。政権を担う閣僚として、それらの「声」を実現するために、どのような行動をしたのか。それが「閣議決定案に署名しない」などということなら、誰でもできる。そんなわけで、今回の罷免劇は、社民党首並びに社民党の、相も変わらぬ「無責任な」「小児病的」体質を露わにして終幕となった。 
 ところで「沖縄を裏切ったのは誰か」。裏切られたのは沖縄県民、だとすれば、裏切ったのは「それ以外の人々」全員ということになる。なぜなら、沖縄県以外の都道府県で「移設受け入れ」を容認するところは皆無だったからである。つまり、沖縄県を除く日本国民全員が「沖縄切り捨て」の意思をしているのである。「2009衆院選」で日本国民は、「政権交代」を選択した。普天間移設問題に関しては「国外・県外へ」を選択したにもかかわらず、いざとなると、自分達が居住する地方・地域への移設は容認しない。そのことが「裏切り」でなくて何であろうか。
 ことここに至って、取るべき方法はただ一つ、沖縄県民の「負担」を、他の(都道府)県民がが「経済的に補填する」他はない、と私は考える。例えば、①沖縄県民が納めるべき「住民税」「固定資産税」を軽減・削減、②沖縄県民に対する「基地(危険)手当」の支給、③医療・福祉サービスの優遇措置、等々を制度化、それらに伴う必要経費を(沖縄県民を除く)国民の税金で充当する。
 とはいえ、はたして、そんなことで沖縄県民が「移設受け入れ」を容認してくれるだろうか・・・。
(2010.5.30)