梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

排他主義

 1月5日の新型コロナウィルス感染症による死者は498人で、1日当たりの死者数としては過去最多となった。しかし、政府も専門家もマスコミも、そのことに関しては、それ以上に触れようとしない。本来なら「世間のトップニュース」に値すると、私は思うが、なぜなのだろうか。「ニュースバリューがない」ということなのだろう。今さら取り上げてみたところで、どうということはないということか。だとすれば、コロナによる死亡という現象は、ごくあたりまえの「日常茶飯事」に過ぎないことであって、大騒ぎする必要なないということになる。要するに、死者はすべて70歳以上の高齢者なのだから、「死んで当たり前」ということなのかもしれない。
 しかし、当事者である私たち高齢者にとっては、切実な問題だ。もはや「感染を防ぐ」ことは、あきらめなければならないかもしれない。大切なことは、「感染したら、死なないためにどうすればよいか」という一点であろう。残念ながら、そのような情報を得ることはできない。「運を天に任せる」ほかはないのである。
 政府も専門家もマスコミも、「高齢者は社会の厄介者」と排他主義を貫いているように感じる。
(2023.1.6)