梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

2023年・「一年の計」

 79回目の元旦だ。健康寿命がつきる73歳までは、「もうやるべきことはやり尽くした。いつ死んでも悔いはない」と思っていたが、急性心筋梗塞を発症、一命を取り留めてからは「決して自分の力だけで生きているのではない。他者によって生かされているのだ」と思うようになった。にもかかわらず、去年の目標は「大晦日まで生き延びること」であった。なんたる、未熟さ!愚かさ!、自分のことながら「開いた口がふさがらない」。まだ、自分のことしか考えていない。自分を中心に世界が回っていると思っている。
 そうではない、私はまだ「やるべきことをやり尽くしてはいない」のである。その「やるべきこと」とは何か。言うまでもなく「自分のため」ではなく「他者のために」やるべきことである。これまで、「他者のために」何をやったか。何ひとつないではないか。
 したがって、今年の目標は「他者のために奉仕する」ことでなければならない。私にとって、最も似つかわしくない、最も困難な目標だ。でも、それ以外の目標は考えられない。あとは「実行あるのみ」だ。
(2023.1.1)