梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

大衆演劇・劇団素描「伊達隆義劇団(座長・伊達隆義)

【伊達隆義劇団】(座長・伊達隆義)〈平成20年6月公演・新潟三条東映〉
「劇団紹介」によれば〈プロフィール 伊達劇団 演友会所属。平成10(1998)年創立。「みんなで楽しく」というのがモットーで、誰が一番というわけではなく、みんなで作っていくという劇団。劇団員みんなが、ざっくばらんでフレンドリーな関係を築く。お芝居では、アドリブを入れないというのが特徴で、すべてきちんと稽古したものを、お客様に観せている。伊達隆義 昭和40(1965)年3月16日生まれ。広島県出身。血液型O型。劇団座長。高校卒業後、近くの大衆演劇を観に行ったのがきっかけで、役者になる。10年間『吾妻劇団』に所属後、知り合いが座を旗揚げするときに移籍。その5年後、独立し、旗揚げ。まじめだけど軽い、肩の力を抜いているような役が好きで、『源太時雨』などの芝居を好む〉とある。また、キャッチフレーズは〈座員みんなで作っている劇団。個性あふれる舞踊や、熱いお芝居を披露。明るく、肩の力の抜けた、頼もしい人柄の座長率いる『伊達劇団』の舞台を存分にお楽しみください〉であった。
芝居の外題は「浅間の喜太郎」、「劇団魁」の南條あきらがゲスト出演、喜太郎役の「主役」を演じていたが、「実力」(魅力)は「今一歩」、やはり座長・伊達隆義の「肩の力の抜けた」演技が光っていた。もう一人、女優・中村歌子の「実力」も半端ではない。まあ、この二人の実力で「もっている」劇団とでもいえようか、舞踊ショーでも、特記できる内容はなかった。
ただ一点、芝居の中で座長が発したセリフは勉強になった。「いいか、お前。我慢と辛抱は違うぞ」と相手役に話しかける。「へーえ? どう違うんで?」という反問に、「我慢というのは、自分のわがままを抑えることだ。辛抱というのは、他から与えられる苦しさ、辛さに耐えることだ、お前たちは両方が足りない」、なるほど、私自身は十分に納得できた。
(2008.6.20)