梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

大衆演劇・劇団素描「桑田劇団」(座長・桂木昇)

【桑田劇団】(座長・桂木昇)〈平成20年1月公演・川崎大島劇場〉
午後6時から大島劇場観劇(観客数15)。「桑田劇団」(座長・桂木昇)、座員は桂木昇を筆頭に、太夫元・桑田淳、三門扇太郎、中村駒二郎、山下久雄、桑田千代、桑田幸衣、音羽三美、ベビーゆきお(子役)、友情出演・雪松こずえ、という面々であった。総じて役者の平均年齢が高く、「わびしい」雰囲気が漂っていた。30年前に観た千住壽劇場の雰囲気そのままで「懐かしさ」ひとしおというところであろうか。芝居の開幕前には「配役」がていねいに紹介されたので、すぐに役者の顔と芸名を覚えることができた。外題は「お春茶屋」、それぞれの役者は場数を踏んでおり、安心して観ることができた。終幕近くの「節劇」の実力は「今一歩」、座長の「表情」が加わればさらに良かったと思う。舞踊ショーの中に、役者の「歌唱」が数多く(桂木昇、音羽三美、三門扇太郎、桑田淳、山下久雄)挿入されていたので、昔の歌謡ショーの雰囲気が漂い、他の劇団とは「一味違う」ことにも好感が持てた。中でも山下久雄の「歌唱」は出色、他の役者の舞踊曲を「生で」担当すれば舞台が盛り上がるのではないか。芝居・舞踊の全体を評して、まさに「昔ながらの大衆演劇」「懐かしの大衆演劇」と言えるだろう。ベビーゆきお(子役・2歳)は芝居に登場し、「その場にじっとしている」だけの演技であったが、立派だと思う。「かえるの子はかえる」、将来に期待したい。
(2008.1.18)