梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《創世記》・第33章

■第33章
・さて、ヤコブは目を上げ、エサウが400人を率いて来るのを見た。そこで彼は子供たちを分けてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、つかえめとその子供たちをまっ先に置き、レアとその子供たちを次に置き、ラケルとヨセフを最後に置いて、みずから彼の前に進み、七たび身を地にかがめて、兄に近づいた。
・するとエサウは走ってきて迎え、彼を抱き、その首をかかえて口づけし、共に泣いた。エサウは目を上げて女と子供たちを見て言った。「あなたと一緒にいるこれらの者はだれですか」。ヤコブは言った。「神がしもべに授けられた子供たちです」。そこでつかえめたちはその子供たちと共に近寄ってお辞儀した。レアもまたその子供たちと共に近寄ってお辞儀をし、ヨセフとラケルが近寄ってお辞儀をした。するとエサウは言った。「わたしが出会ったあのすべての群れはどうしたのですか」。ヤコブは言った。「わが主の前に恵みを得るためです」。エサウは言った。「弟よ、わたしはじゅうぶんもっている。あなたの物はあなたのものにしなさい」。ヤコブは言った。「いいえ、もしわたしがあなたの前に恵みを得るなら、どうか、わたしの手から贈り物を受けてください。あなたが喜んでわたしを迎えてくださるので、あなたの顔を見て、神の顔を見るように思います。どうかわたしの持ってきた贈り物を受けてください。神がわたしを恵まれたので、わたしはじゅうぶん持っていますから」。こうして彼がしいたので、彼は受け取った。
・そしてエサウは言った。「さあ、立って行こう。わたしが先に行く」。ヤコブは彼に言った。「ごぞんじのように、子供たちは、かよわく、また乳を飲ませている羊や牛をわたしが世話をしています。もし一日でも歩かせ過ぎたら群れはみんな死んでしまいます。わが主よ、どうか、しもべの先においでください。わたしはわたしの家畜と子供たちの歩みに合わせて、ゆっくり歩いて行き、セイルでわが主と一緒になりましょう」。
・エサウは言った。「それならわたしが連れている者どものうち幾人かをあなたのもとに残しましょう」。ヤコブは言った。「いいえ、それには及びません。わが主の前に恵みを得させてください」。その日エサウはセイルへの帰途についた。ヤコブはスコテに行き、自分のために家を建て、家畜のために小屋を造った。これによってその所の名はスコテと呼ばれている。
・こうしてヤコブはパダンアラムからきて、無事カナンの地のシケムの町に着き、町の前に宿営した。彼は天幕を張った野の一部をシケムの父ハモルの子らの手から100ケシタで買い取り、そこに祭壇を建てて、これをエル・エロヘ・イスラエルと名づけた。
(2021.10.4)