梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《創世記》・第26章

■第26章
・アブラハムの時にあった初めてのききんのほか、またききんがあったので、イサクはゲラルにいるペリシテびとの王アビメレクの所へ行った。その時、主は彼に現れて言われた。「エジプトへ下ってはならない。わたしがあなたに示す地にとどまりなさい。あなたがとどまるなら、わたしはあなたを祝福して、これらの国をことごとくあなたと、あなたの子孫に与え、わたしがあなたの父アブラハムに誓った誓いを果たそう。わたしはあなたの子孫を増して天の星のようにし、あなたの子孫にこれらの地をみな与えよう。すべての国民はあなたの子孫によって祝福を得るであろう。アブラハムがわたしのさとしと、いましめと、さだめと、おきてとを守ったからである」。
・こうしてイサクはゲラルに住んだ。その所の人々が彼の妻のことを尋ねたとき、「彼女はわたしの妹です」と彼は言った。リベカは美しかったので、人々が自分を殺すかもしれないと思ったからである。イサクは長らくそこにいたが、ある日、ペリシテびとの王アビメレクは窓から外を眺めていて、イサクが妻リベカと戯れているのを見た。そこでアビメレクはイサクを召して言った。「彼女はあなたの妻です。どうして『妹です』と言われたのですか」。イサクは彼に言った。「殺されるかもしれないと思ったからです」。アビメレクは言った。「民のひとりが軽々しくあなたの妻と寝るような事があれば、その時あなたはわれわれに罪を負わせるでしょう」。それでアビメレクはすべての民に命じて言った。「この人、またはその妻にさわる者は必ず死ななければならない」。
・イサクはその地に種をまいて、その年に100倍の収穫を得た。主が彼を祝福されたので、彼は富み、ますます栄えて裕福になり、羊の群れ、牛の群れ、多くのしもべを持つようになったので、ペリシテびとは彼をねたんだ。またペリシテびとはアブラハムのしもべが掘ったすべての井戸をふさぎ、土で埋めた。アビメレクはイサクに言った。「あなたはわれわれよりもはるかに強くなられたから、われわれの所を去ってください」。
・イサクはそこを去り、ゲラルの谷に天幕を張って住んだ。そしてアブラハムの時に人々の掘った水の井戸を再び掘った。アブラハムの死後、ペリシテびとがふさいだからであ
る。しかし、イサクのしもべたちが谷の中を掘って、そこにわきでる水の井戸を見つけたとき、ゲラルの羊飼いたちは「この水はわれわれのぼのだ」と言って、イサクの羊飼いたちと争ったので、イサクはその井戸をエセクと名づけた。彼らはまた一つの井戸を掘ったが、これをも争ったので、名をシテナと名づけた。
・イサクはそこから移ってまた一つの井戸を掘ったが、彼らはこれを争わなかったので、その名をレホボチと名づけて言った。「主がわれわれの場所を広げられたから、われわれはこの地にふえるであろう」。
・彼はそこからベエルシバに上った。その夜、主は彼に現れて言われた。「わたしはあなたの父アブラハムの神である。あなたは恐れてはならない。わたしはあなたと共におって、あなたを祝福し、わたしのしもべアブラハムのゆえにあなたの子孫を増すであろう」。それで彼はその所に祭壇を築いて、主の名を呼び、そこに天幕を張った。またイサクのしもべたちはそこに一つの井戸を掘った。
・時に、アベメレクがその友アホザテと、軍勢の長ビコルと共にゲラルからイサクのもとに来たので、イサクは彼らに言った。「あなたがたはわたしを憎んで、わたしを追い出されたのに、どうしてわたしの所に来られたのですか」。彼らは言った。「主があなたと共におられるのをはっきり見ましたので、われわれとあなたとの間に一つの誓いを立て、契約を結ぼうと思います。われわれはあなたに害を加えたことはなく、ただよい事だけをして、安らかに去らせたのですから、あなたはわれわれに悪い事をしてはなりません。あなたは主に祝福されたからです」。そこでイサクは彼らのためにふるまいを設けた。彼らは飲み食いし、あくる朝早く起きて互いに誓った。彼らはイサクのもとから穏やかに去った。その日、イサクのしもべたちが来て、自分たちが掘った井戸について彼に告げて言った。
「わたしたちは水を見つけました」。イサクはそれをシバと名づけた。これによってその町の名は今日にいたるまでベエルシバといわれている。
・エサウは40歳の時、ヘテびとベエリの娘ユデテとヘテびとエロンの娘バスマテとを妻にめとった。彼女たちはイサクとリベカにとって心の痛みとなった。
(2021.9.27)