梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《創世記》・第18章

■第18章
・主はマムレのテレピンの木のかたわらでアブラハムに現れられた。昼の暑いころで、彼は天幕の入り口にすわっていたが、目を上げて見ると3人の人が彼に向かって立っていた。彼はこれを見て、天幕の入り口から走って行って彼らを迎え、地に身をかがめて言った。「わが主よ。もしわたしがあなたの前に恵みを得ているなら、どうぞしもべを通り過ごさないでください。水をすこし取ってこさせますから、あなたがたは足を洗って、この木の下でお休みください。わたしは一口のパンを取ってきます。元気をつけてそれからお出かけください。せっかくしもべのところにおいでになったのですから」。
・彼らは言った。「お言葉どおりにしてください」。そこでアブラハムは急いで天幕に入り、サラの所に行って言った。「急いで細かい麦粉3セヤをとり、こねてパンを造りなさい」。アブラハムは牛の群れに走って行き、柔らかな良い子牛を取って若者に渡したので、急いで調理した。そしてアブラハムは凝乳と牛乳および子牛の調理したものを取って、彼らの前に供え、木の下で給仕し、彼らは食事した。
・彼らはアブラハムに言った。「あなたの妻サラはどこにおられますか」。彼は言った。「天幕の中です」。そのひとりが言った。「来年の春、わたしはあなたの所に帰ってきましょう。その時、サラには男の子が生まれているでしょう」。サラは天幕の入り口で聞いていた。アブラハムとサラは年が過ぎて老人となった。サラは心の中で笑って言った。「わたしは衰え、主人も老人であるのに、わたしに楽しみなどありえようか」。主はアブラハムに言われた。「なぜサラはどうして子を産むことができようかと言って笑ったのか。主にとって不可能なことがありましょうか。来年の春、わたしは帰ってきます。そのときサラには男の子が生まれているでしょう」。サラは恐れたのでこれを打ち消して言った。「わたしは笑いません」。主は言われた。「いや、あなたは笑いました」。
・その人々はソドムの方に向かったので、アブラハムは見送って共に行った。時に主は言われた。「わたしのしようとすることをアブラハムに隠してよいであろうか。アブラハムは必ず大きな強い国民となって、地のすべての民がみな、彼によって祝福を受けるのではないか。わたしは彼が後の子らと家族とに命じて主の道を守らせ、正義と公道とを行わせるために彼を知ったのである。これは主がかつてアブラハムについて言った事を彼の上に臨ませるためである」。主はまた言われた。「ソドムとゴモラの叫びは大きく、その罪は非常に重いので、わたしはいま下って、わたしに届いた叫びのとおりに、彼らがおこなっているかどうかを見て、それを知ろう」。
・その人々はソドムの方に行ったが、アブラハムはなお、主の前に立っていた。アブラハムは近寄って言った。「あなたは正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。あの町に50人の正しい者があっても、滅ぼし、ゆるされないのですか。正しい者と悪い者とを一緒に殺すようなことをあなたは決してなさらないでしょう。全地をさばく者は公義を行うべきではありませんか」。主は言われた。「ソドムで50人の正しい者があったら、その所のすべてをゆるそう」。アブラハムは答えて言った。「わたしはちり灰に過ぎませんが、あえてわが主に申します。もし50人の正しい者のうち5人欠けたなら、町を全く滅ぼされますか」。主は言われた。「45人いたら滅ぼさないであろう」。アブラハムは重ねて言った。「もし40人だったら」。主は言われた。「滅ぼさないであろう」。アブラハムは言った。「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう、わたしは申します。もし30人だったら、・・・20人だったら、・・・10人だったら」。主は言われた。「10人のためにわたしは滅ぼさないであろう」。主はアブラハムと語り終り、去って行かれた。アブラハムは自分の所に帰った。
(2021.9.19)