梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

今、何をすべきか(6)

 第6は、言うまでもないことだが、「新型コロナウィルス感染症」という疾患に対して《どのような治療を施せばよいか》を明らかにし、《誰でも》《いつでも》《どこでも》的確な診断と治療が受けられるようにすることである。
 それは(専門家がその気になれば)むずかしいことではない。厚生労働省のホームページ(国内の発生状況)によれば、これまPCR検査で陽性者となった人数は、9月8日現在で累計1590994人であったが、一方、そのうち発症したが軽快して退院した人数の累計は1404535人で、《退院率》(退院者数÷陽性者数)は88.2%であった。つまり、これまでざっと159万人余りが陽性者となったが、そのうち140万人余りは退院している、《この疾患に罹っても88%は治った》ということである。10人のうち8人以上が治るというのが、「新型コロナウィルス感染症」という疾患の《実態》だ。
 では、どのようにすれば治るのか、《どのような治療を施せばよいか》、その答は140万人の治癒事例を集約・分析すれば、おのずと明らかになるだろう。それこそが、専門家の仕事である。症状の実態、経過、重症化の契機、治療薬の効果等々、すでにデータはそろっているはずだ。それらをもとに、《どのような治療を施せばよいか》を明らかにし、そのノウハウを全国津々浦々に《普及》することが、今するべきことなのである。
 感染を防ぐこと(入口)よりも、治し方(出口)を明らかにすることが重要である。現在、患者を直接治療している医療関係者(臨床医、看護師)は《ごく限られている》ため、その負担は筆舌に尽くしがたい。その負担を軽減するためには、いたずらに医療崩壊(患者の自宅放置)を叫んで危機感を煽ることではなく、《一日も早く》一般の病院で一般の医師が治療に当たれる体制を整えなければならない。
(2021.9.9)