梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

白紙領収書「慣行」の《怪》

 10月6日の参院予算委員会で菅官房長官、稲田防衛相は、出席した政治資金パーティーで主催者から白紙の領収書を受け取り、金額や日付けは後から自らの事務所で記入したことを認めた。それは国会議員の「慣行」であり、高市総務相も「規制法に領収書の作成方法は規定されておらず、法律上の問題は生じない」との見解を示したそうである。(東京新聞10月7日付け朝刊1面)しかし、白紙領収書に水増しの金額を記入すれば違法である。
 規制法に領収書の作成方法が規定されていないのは何故か。領収書とは「代金を受け取った者が支払った者に対して金銭を受け取ったことを証明する書類」であり、そこに金額や日付けが記入されていなければ、ただの紙切れに過ぎない。受取人が領収書に金額、日付けを記入することは当然至極のことだからこそ、あえて作成方法を規定する必要など無いのである。それが《世間の常識》である。白紙領収書のやりとりを「慣行」だと強弁する国会議員の面々は、自らの厚顔無恥を自覚できず、すでに選良としての資質・資格を失っているのだ。加えて、その「慣行」の理由を、「多くの出席者がいるパーティーで短時間に領収書を作成することが難しい」などと弁明するようでは、まさに「語るに落ちた」典型で、図らずも当該議員連中の事務処理能力不足を天下に露呈しているに過ぎない。
(2016.10.7)