梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・10・《■ウィルスと人類の間にはシステムが存在する》

■ウィルスと人類の間にはシステムが存在する
【小川】同じウィルスで2月から5月まで世界中でたくさんの人が亡くなった。しかしピークアウトした国はほとんど死亡者が出なくなる。アメリカは3月から5月中旬までに12万人亡くなった。通常、アメリカではインフルエンザで、ひと冬、2万から多くても8万人くらいだから、大変な死亡者数だ。その、ようなウィルスがいたわけだ。ところが、その後の同じ期間で死者は3万5000人、これでも多いけど、死因の数え方にも疑問がある。貧困層の死者がなかなか減らないが、今ではほぼ収束した。数か月前には人をあれだけ殺していたのに、今、ほとんど人が亡くならない。しかしウィルスはいる。今もウィルスはいるのに人はほとんど亡くならない。ウィルスと人類の間でのシステムがあるのではないか。
【上久保】システムがある。
【小川】マクロでみた場合には、この感染カーブ(流行曲線)の死亡者推移こそがエビデンスではないか。死者・重症者の感染カーブを病理的に確定診断を付けて公表することもせずに、陽性者の数だけ強調して、秋からまた第二波が起こるかもしれないとマスコミで危機を煽り続けている専門家がいる。
【上久保】何の根拠もない。なぜそれを第二波と言っているかというと、スペイン風邪で、第二波があった。第一波が大きく来て、第二波はやや小さい。それがまた第三波で大きくボーンと来たというのがあったから、第二波が来ると思っている。でも、そこの解析の理論がない。「感じ」で言っているだけだ。


【感想】
・本書が発行されたのは2020年10月だから、上の記述は9月頃の実態をもとにしていると思われる。私は、米ジョンズ・ホプキンズ大の集計を元に、一日あたり死者が何人増加するかを、昨年3月以来エクセルでグラフ化して見ているが、アメリカでは3月~5月までが「一つの山」であり、12万人の死亡者が出た。以後、漸減し9月頃には「ほとんど亡くならない」ということだが、以後の経過をみると、さらに「二つの山」があり、累計42万人が死亡している。2021年1月現在、「三つ目の山」を迎えており、下降傾向はみられていない。イタリア、スペイン、ドイツ、イギリス、ブラジルなども「二つの山」があり、まだ下降傾向はみられない。下降気味なのはトルコ、インドくらいだろうか。インドは「一つの山」であり、死亡者は減少している。日本は「三つの山」があり、現在も上昇傾向にある。
・各国により「死因」の認定方法が違うといわれれば、真実は闇の中だが、いずれにせよ、数値の上から「収束」はまだまだ「ほど遠い」ように思えるのだが・・・。 
(2021.1.27)