梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・1・《はじめに》

《はじめに》(小川榮太郎)
・2020年9月1日現在、日本での新型コロナウィルスによる死者は累計1249人で、死者全体(推計70万人)の0.1%強に過ぎない。死亡者の平均年齢は79.3歳、院内感染による死亡が4割を超えるとされている。
・一方、日本経済は(マスコミによる凄まじい煽りを受けて)壊滅的な減収が続いている。・世界規模での危機も深刻だ。前年からGDP35%減と考えられる。世界史上空前の現象だろう。
・ウィルスそのものの脅威よりも、はるかに巨大な、誤った煽動による社会経済生活の破壊が進行しただけだったのではないか。
・コロナウィルスそのものは、元来、平凡で微弱な症状を引き起こす風邪ウィルスだ。
当初、今回変異したコロナウィルスは、通常のコロナウィルスとは全く別物だと恐怖したのは無理もないが、時間が経つにつれ、ウィルスの正体が徐々に明らかになり始める。
・5月に山中伸弥京都大学教授が「ファクターXは何なのか」を世に問いかけた。それに対して様々な議論が寄せられたが、「説」を立てて、世界中の感染状況の差異を説明しようとしたのが、上久保靖彦京都大学大学院特定教授と高橋淳吉備国際大学教授の研究チームである。このモデル理論は、マスコミでは「集団免疫説」として大きく採りあげられ、世界からも注目されている。しかし充分理解されているとは言い難い。当初の恐怖を引きずり、常識や前提を忘れた議論が横行している。マスコミの扇情的な報道が続き、科学者が冷静で科学的な説明をしにくい空気を作り続けてしまった。歪なメディア空間が醸成され、日本社会は半年にわたりフリーズを続けてきた。
・本書では、ウィルスとは何か、免疫とは何かの確認から始まり、集団免疫論がどう構築されたか、「新型コロナウィルス」とは何なのかを詳しく解説していただき、今後、どのように対処し、ふるまうべきかを話していただいている。根拠を充分示して説明していただいたものと自負している。


【感想】
・本書が発行されたのは2020年10月なので、以来3か月が経っているが、未だに日本社会の「フリーズ」は続いているようである。
・「コロナはただの風邪」というだけで「村八分」にされるか、無視される空気はまだ続いている。大学の共通一次試験の受験生が、マスクから鼻を出していただけで「不正行為」として糾弾される世の中なのだから・・・。
・今後、どう対処し、どうふるまうべきか、興味を持って読み進めたい。
(2021.1.20)