梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「本当はこわくない新型コロナウィルス」(井上正康・方丈社・2020年)通読・27《おわりに》

《おわりに》(要約)
・「ステイ・クローズド」で日本を元気に!
・通常、ウィルスは変異を繰り返しながら弱毒化して人類との共存を模索する。しかし、遺伝子変異が著しい場合は凶悪なウィルスも誕生することがある。(2002年のSARS、2012年のMERS)“次の波”も今回と同様の幸運に恵まれる保証はない。政府や専門家は、世界と日本での発症状況を注意深く観察しながら、危険が増したら素早く対応できる科学的体制を構築することが大切だ。
・日本人には手洗いの習慣がしみついている。靴を脱いで家に上がる習慣も衛生的だ。節度のある距離でお辞儀をする習慣も無意識的感染症対策になっている。島国の日本人は感染症に対して歴史的にも適切な行動をとってきた。それが世界でも屈指の清潔な国の基盤になっている。
・「3密回避」や「ステイホーム」が叫ばれて文化活動や経済活動が大きく抑制され、日本はすっかり元気を失った。そこで、ポストコロナ時代にこそ「ステイ・クローズ」を提唱したい。“空気”に支配された過剰反応で失われた人間関係をもう一度散り戻し、心豊かな日本社会を再構築したいから。ステイ・クローズで社会を明るく元気に活性化しよう
これが本書に込めたメッセージだ。
・本書は人災的コロナ禍の被害を少しでも軽減する目的で日進月歩の最新コロナ情報をわかりやすく俯瞰的に解説したものである。日本人が健康で文化的な生活を取り戻すためのささやかな羅針盤となることを願っている。


【感想】
・著者は最後に「ステイ・クローズ」を提唱している。「近くにいて」という意味だ。人と人が「より添わなければ」社会は成り立たない。要するに、「もっと近づこう」と呼び掛けているのだ。「ソーシャル・ディスタンス」とは「距離を置く」(2メートル以上離れろという)ことだから、「3密回避」も含めて、政府、専門家、メディアの趣旨とは正反対のことを提唱していることになる。まことに勇気のある発言だが、現状をみれば、この提唱が人々に受け入れられることは難しいだろう。今や、「感染はうつす方もうつされる方も悪」「マスクは必需品」といった空気が、全国津々浦々にまで蔓延しているのだから・・・。いったいいつまで、日本人はマスクを着け続けるのだろうか。 
・著者によれば、現在の感染拡大は「桜の季節」頃には収まるだろうということだ。それまで「気長に」待つことにしよう。
(2021.1.19)