梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

天皇および皇族の《人権》

 「国民主権」の民主主義を標榜する日本社会において、参政権をはじめ基本的人権の数々を剥奪されている家族がある。「象徴」という存在の天皇家(皇族)だ。国民は彼らを敬い、親しみを込めて至上の優遇を図っているように見受けられるが、それは虚構に過ぎない。もともと天皇は「絶対君主」であり「神聖にして侵すべからず」という存在であった。敗戦によりその地位は失われ、(意味不明、曖昧模糊とした)「象徴」という立場に変わると同時に、天皇および皇族の「人権」は著しく損なわれていることになった。昭和天皇は終焉期、刻一刻とバイタル指数を公表され、人間としての尊厳を侵された。平成天皇もまた「退位」を希望しているが、「日本国憲法第2条」および「皇室典範第一条」の規定が枷となっている。前者では世襲、後者では、男系の男子がこれを継承するなど、およそ近現代の民主主義・人間尊重の理念とはかけ離れた内容である。
 したがって、国民はただちにそれらの規定を撤廃し、天皇および皇族の「人権」を回復しなければならない。「象徴」という立場を廃し、天皇家もまた国民の一家族に加わるべきだと、私は思う。さらにまた、そのことを実現できるのは、私たち一人一人の「国民」の総意であることを見落としてはならない。