梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「本当はこわくない新型コロナウィルス」(井上正康・方丈社・2020年)通読・18《第6章 「次の波」に向けての処方箋》

《第6章 「次の波」に向けての処方箋》(要約)
■高齢者で高い重症化率と死亡率
・新型コロナウィルスに対してリスクの高いのは、がんの化学療法を受けている人、糖尿病や生活習慣病のある高齢の「免疫弱者」であり、これらの人々を集中的にケアする必要がある。
・反対に、若年層や働き盛りの世代は極めてリスクが低いので、自粛などで社会的活動を抑えず、適切な感染予防を講じたうえで、しっかりと経済活動をすることがバランスのとれた対処法だ。


■新型コロナは感染力の強い風邪ウィルス
・今回の新型コロナウィルスは感染力が少し強いコロナの仲間で、日本人にとってはやはり“風邪のウィルス”である。「風邪は万病の源」といわれるように、“普通の風邪”でも毎年多くの高齢者が死亡している。
・インフルエンザも毎年秋の終わりごろから流行しはじめ、2月ごろにピークを迎えて桜の開花前に収束していく。インフルエンザには毎年数千万人が感染し、約1万人が死亡している。ところが2019~20年の冬は、インフルエンザの感染者が前年と比べて著しく減少した。同時期に複数のウィルスが流行する場合、先に感染したウィルスにより後から来たウィルスの感染や増殖が抑制される。この現象は「ウィルス干渉」と呼ばれている。風邪とインフルエンザは同時にかからない。


■トイレで感染の可能性が高い
・「第2波」が上陸する際に気をつけるべきことは、手洗いやうがいなど、非常にシンプルだ。これに加えて、「鼻洗浄」「トイレの洗浄や消毒」が重要である。
・コロナウィルスの受容体であるACE2は、小腸に最も多くある。小腸や大腸にコロナウィルスが感染すると、便と一緒にウィルスも体外へ排泄される。だから、トイレで感染する可能性が高い。高齢者が外出を控えても、家族の中で若者や成人が外からウィルスを持ち帰れば、トイレを介して家庭内感染を起こす可能性がある。したがって、トイレをこまめに消毒・洗浄して清潔に保つことが効果的だと考えられる。


【感想】
・新型コロナウィルスは「接触感染」(または飛沫感染)するので「手洗い」「うがい」「鼻洗浄」そして「トイレの消毒や洗浄」が極めて重要であることがよくわかった。
・緊急事態宣言では「飲食店」の営業が制限されているが、「飲食店」と「家庭」ではどちらが感染のリスクが高いのだろうか。飲食店で感染が拡大するのはなぜか。密集した中での会話による「飛沫感染」なのか、握手などの「接触感染」なのか、それともトイレの「共同使用」なのか、根拠がきわめて曖昧である。著者は本節の最後に「国民もメディアや政府の言うことを鵜呑みにせず、不毛な過剰反応を繰り返すことなく、客観的な情報に基づいて自分の頭で考えて行動することが何よりも大切」だと警告している。では、客観的な情報はどのように入手すればよいか、それが問題だと思った。
(2021.1.13)