梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「本当はこわくない新型コロナウィルス」(井上正康・方丈社・2020年)通読・10《「PCR陽性=感染者」ではない!》

■「PCR陽性=感染者」ではない!
・現在発表されている“感染者数”は必ずしも感染の実態を示しているものではない。感染者数はだれでも正確に把握できていない数字だ。ウィルスが体内に入っただけでは感染とは言わない。ウィルスが細胞内に侵入したときに感染者になる。また、感染しても必ず発症するとは限らない。発症した患者を医師が診断してはじめて“新型コロナ感染患者”になる。
・ところが、実際にはPCR検査で“陽性”になっただけで“感染者”とみなされている。PCR検査は、ウィルスの遺伝子のわずかな断片を鋳型に増殖して検出する方法だ。それが感染力をもつウィルスのものか、もはや感染力を失った残骸に過ぎないのかは区別できない。PCR検査キットには「これはウィルスを診断するためのものではありません。あくまでもRNAの断片を検出するためのキットです」という趣旨の注意書きがある。にもかかわらず世の中では、PCR陽性者=コロナ感染者という“誤解”がひとり歩きしている。
・“感染者数”を絶対視すべきではない。
・一方、死者数は解釈などによって影響されにくい値であり、実数値に近いと考えてよい。・ただし、6月に厚生労働省から病院へ「PCR検査などで新型コロナの感染が疑われる死亡者は原因の如何を問わずにコロナ患者として届けるように」との通達があった。このために新型コロナの死亡者数はかなり多めに見積もられている可能性が高い。
・これは新型コロナが「指定感染症」に指定されているためである。新型コロナの死亡率を実際以上に高くすることで、ウィルスの実害をわかりにくくしている。


【感想】
・「感染する」ということは、ウィルスが体内に付着することではない。細胞内に侵入し、増殖を始めた時をいう。でもまだ発症しない段階では「患者」とみなされない。症状が現れても、自分で治してしまう場合も「患者」とはみなされない。耐えきれずに医師を受診し、医師が「感染症だ」と診断したとき、はじめて「感染症患者」になる。他の感染症のほとんどが、この「感染症患者」を「感染者」とみなしているのに、新型コロナだけは、ウィルスが体内に存在しているだけで「感染者」になってしまう。それは「指定感染症」に指定されているからだそうだ。
・通常、インフルエンザの感染者は1000万人と言われているが、その感染者は当然「患者」のことだ。それに比べて、2021年1月現在、新型コロナの「患者数」は4万人余りでしかない。にもかかわらず、医療体制が逼迫するとはどういうことか。新型コロナの患者が特定の病院に集中するからであろう。これは新型コロナの病毒性というよりは、医療行政の問題であり、いわば「人災」である。
・1月6日現在(厚生労働省のホームページに基づくと)、新型コロナの「患者数」「重症者数」「死者数」は、人数的には増えている(過去最多)が、「有症率」16.2%(発症者数の陽性者数に対する割合)や、「重症化率」1.9%(重症者数の有症者数に対する割合)、「致死率」9.0%(死亡者の有症者に対する割合)は、昨年4月、7月の数値を上回るものではない。 
・にもかかわらず、首都圏を中心に「緊急事態宣言」が出されるようだ。その魂胆は何なのか。冷静に見極めたいと思う。
(2021.1.7)