梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「コロナ死者 1日最多42人 国内」

「東京新聞」12月2日付け朝刊(3面)に「コロナ死者 1日最多41人 国内」」という見出しの記事が載っている。「国内で1日に報告された新型コロナウィルス感染が確認された死者数が41人に上り、過去最多を更新した。重症者数は前日から21人増えて493人となり、9日連続で最多を更新した」と記されている。厚生労働省のホームページでも、重症者数は前日より21人増えて493人と示されており数値は「一致」しているが、なぜか死亡者数は20人増えて(累計)2139人とある。新聞報道では41人増、厚生労働省の公表では20人増、この「不一致」はどこから生まれるのだろうか。重症者数は同じなのに、死亡者数だけが異なる理由は何か。ことは生死に関わる情報で安易な誤差は許されない。新聞社、厚生労働省の双方に「説明責任」がある、と私は思う。
 また、新聞記事をよく読むと《新型コロナウィルス感染が確認された死者数》とある。読者は、見出しに「コロナ死者」とあるので《コロナが死因の死者》と誰もが思うだろう。もっとも死者のカウントに当たっては《死者が陽性だった場合、どのような死因であってもコロナに因る死者とする》という通達が、厚生労働省から出されていたそうだが・・・。
 しかし、生死に関わる事柄が「曖昧」であってはならない。報道は、はっきりと死者数41人のうち、基礎疾患があった人、なかった人の区別を明示するべきだ。さらにコロナによる死者が41人増えたのなら、他の死因による死者は何人だったのか。国内の1日あたりの死者数は3000人と言われている。その中で41人という数値は「多いのか、すくないのか」、読者が判断できるような情報を示すことが肝要なのである。 
 とにかく売れれば良い、稼げれば良い、と右往左往しているマスメディアの連中に、そんなことまで期待することは無理か・・・。嗚呼。
(2020.12.2)