梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

自民党総裁選の《噂》

 事の真偽はともかく、《噂》によれば、自民党の次期総裁に菅義偉氏が決まったのは、現副総理の麻生太郎氏が《激怒》したからだという。
 安倍首相が辞任を表明したとき、次期総裁は岸田文雄氏にという思いが、安部氏自身の念頭にあり、副総理の麻生氏も了承していた。したがって、当初は「岸田氏で決まり」ということだったのだが、それを覆してしまったのは、岸田氏自身だというのだから興味深い。岸田氏はいよいよ次期総裁の座が自分に回ってくることを確信し(たかどうかは不明だが)、まず派閥の大先輩・古賀誠氏のところに挨拶に行った(会食を共にした)。その次に、副総理の麻生氏のところに挨拶に行った。ところが、その時の麻生氏の態度はケンモホロロで、岸田氏は適当にあしらわれた。なぜなら「古賀とメシを食ってから、オレのところに来やがった。順番が違うだろ!」と麻生氏が激怒したから。その感情が一気に「次は岸田ではなく、菅だ」という思いに走らせ、自民党の第二派閥・麻生派55人の国会議員は「菅支持」に回ったのだそうである。
 ちなみに、最大派閥は安部首相が所属する細田派98人、次が麻生派55人、さらに竹下派54人、二階派47人、岸田派47人、石破派19人、石原派11人、谷垣グループ15人、菅グループ9人、無派閥41人といわれている。 
 麻生派が「菅支持」を明らかにしたことで、岸田派、石破派、無派閥を除く他の派閥も次々に「菅支持」に回ることになった。これではどうみても岸田氏や石破氏に勝ち目はない。
 以上が「自民党総裁選」に関する《噂》だが、《とかくメダカは群れたがる》。自民党国会議員の品性は、文字通り「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」、「反社会集団」対「一般市民」の構図そのままに、未熟の極地という他はない。なにが《先生》だ。およそ、議論とか論議とは無縁のところで、物事が決まっていくことが嘆かわしい。
 とりわけ、麻生太郎氏の未熟さには開いた口がふさがらない。彼は現在、副総理だ。
 いうまでもなく〈副総理とは、日本において内閣総理大臣に事故のあるとき又は内閣総理大臣が欠けたときに臨時にその職務を代行する第1順位の国務大臣として内閣法第9条に基づき指定された者(内閣官房長官でない場合に限る。)の呼称。辞令等に記載される正式な官職名ではない。内閣において内閣総理大臣に次ぐ席次を与えるために用いられる。〉(「ウィキペディア百科事典」より引用)
 安部首相が「病気のため国民の負託に応えられなくなった」というのだから、今、まさに、内閣総理大臣としての責務を果たさなければならない時に、《昨日の友は今日の敵》然として、かつての盟友・古賀氏(80歳)への私怨・私憤など、青い青い。79歳にもなってこのザマだ。もう、自民党にはまかせられない。とはいうものの、彼ら以上に「風見鶏」然としている野党議員の面々にも絶望するほかはないのである。嗚呼・・・・。
(2020.9.11)