梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「新型コロナウィルス」雑感・《まとめ》

 「コロナ騒動」が始まってから半年以上が過ぎたのに、《新型コロナの正体》は一向に判然としない。為政者、専門家、メディアは一様に「感染拡大を防ぐ」ことに重きをおいているようだが、《感染の有無》をPCR検査で確認し、陽性者数(感染者数)をカウントするだけが能ではあるまい。 
 もうそろそろ「新型コロナウィルス感染症」という疾病がどのようなものなのか、その《本質》が究明されてしかるべきではないか。
 今、そのことについては見解が二つに分かれている。一つは、未だに正体不明だが重症化すると致死率が高いので、基礎疾患のある人は「感染しない」ことが大切だ、終息するまでには《複数年(1年以上は)かかる》し、ワクチンもすぐには活用できないので、見通しは決して明るくない。パンデミックは拡大し続け、全世界を覆い尽くすほどだ。その影響を日本が受けないはずはない。だから、これからも細心の注意を怠りなく「感染防止」に努めるべきだ。以上の見解が世論の圧倒的多数であり、それは京都大学の山中伸弥氏が発信するサイトでも確認できる。最近では北海道大学の西浦博氏との「対談」が紹介され、上のような見解が述べられていた。もう一つは、「新型コロナはただの風邪に過ぎない」、だから過度に不安になったり、生活を自粛しても意味がない。むしろそうした「制限」によって「生活が成り立たなくなる」方が恐ろしい。「感染防止に努める」ことは当然だが、普段通りの生活を行えばよい、とする見解である。そうした見解を主張しているのは、徳島大学名誉教授・大橋眞氏、中部大学教授・武田邦彦氏、医師の吉野敏明氏(誠敬会クリニック会会長・東京都中央区銀座)、石黒成治氏(もりえい病院・三重県桑名市)、そして東京都知事選に立候補した国民主権党党首・平塚正幸氏らである。(まだ他にもいるかもしれないが・・・) どちらの見解が正しいか。それは不明だが、多数決で決めるわけにはいかない。私自身は3月末から現在(7月中旬)まで、厚生労働省のホームページに公表されている「PCR検査実施数」「陽性者数」「入院を必要としている者の数」そのうち「重症者数」、「死亡者数」、「退院者数」の数値をエクセルに入力して、その推移を見てきた。その結果をもとに考えてみたい。
 まず、3月末から現在までの数値を、初期A(3月28日)、ピーク期B(4月15日)、下降開始期C(5月15日)、現在D(7月16日)の順に分けて、その時点の数値を見る。


《A》●PCR検査実施人数:28760、●陽性者数:2538(陽性率8.8%)、●要入院者数:1431(入院率56.3%)、●重症者数:60(重症率2.3%)、●死亡者数:64(死亡率2.5%)、●退院者数1043(退院率72.8%)
*陽性者はPCR検査実施人数の8.8%であり、陽性者のうち要入院者は56.3%、重症者は2.3%、死亡者は2.5%であった。要入院者のうち72.8%が退院した。
【注】陽性率=陽性者数÷検査実施人数、入院率=要入院者数÷陽性者数、重症率=重症者数÷陽性者数、●死亡率=死亡者数÷陽性者数、●退院率=退院者数÷要入院者数


《B》●PCR検査実施人数:94236、●陽性者数:9524(陽性率10.1%)、●要入院者数:7525(入院率79.0%)、●重症者数:168(重症率1.7%)、●死亡者数:149(死亡率1.5%)、●退院者数1580(退院率20.9%)
A初期に比べて陽性率、入院率は増え、退院率は減っているが、重症率、死亡率も減っている。


《C》●PCR検査実施人数:230882、●陽性者数:16193(陽性率7.0%)、●要入院者数:4493(入院率27.7%)、●重症者数:232(重症率1.4%)、●死亡者数:710(死亡率4.3%)、●退院者数10809(退院率63.8%)
*B期に比べて陽性率、入院率、重症率は減り、退院率は増えたが、死亡率は4.3%まで高まった。、


《D》●PCR検査実施人数:599239、●陽性者数:22890(陽性率3.8%)、●要入院者数:3090(入院率14.4%)、●重症者数:37(重症率0.1%)、●死亡者数:985(死亡率4.3%)、●退院者数18814(退院率608%)
*C期に比べて、死亡率は変わらないが、陽性率、入院率、重症者数は半減し、退院率は大幅に上昇している。


 以上の経過を見て、「新型コロナウィルス」の病毒性は、それほど高くないまま終息した、その理由(山中氏の言う「ファクターX」)は不明である、「外国の事例に比べて被害が少なすぎる」ので「第二波は第一波を超えるかも知れない」といった《漠然とした》不安が、多くの専門家にあるのかもしれない。その曖昧さを利用して、一稼ぎを企む連中は甘い汁を吸い続け、無辜の民は辛酸をなめる。
 ここで素人考えを述べれば、要するに国民の5~6%に当たる600~720万人(陽性率5~6%)が《すでに》感染しており、その中のほぼ15%にあたる60~90万人が発病し入院を必要とするが、その70%にあたる42~63万人は治癒し、死亡者は2万~4万人で収まる、《だから》現在の公表値は《その一部》が明らかになっているに過ぎない。いずれ外国のように、感染者、死者数は増え続けるだろうが、英国程度(感染者数30万人弱、死者数4万人強)に治まればよい、ということになる。
(2020.7.18)