梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「新型コロナウィルス」についての《半信半疑》(2)

 参議院議員・古川俊治氏の見解は、政府、専門家会議のそれと「全く同じ」だ。山中伸弥氏が紹介している総説「Significant Scientific Evidences about COVID-19 [2020年6 月10 日版]」には、以下のような記述があった。


《☆☆SARS-CoV-2 の感染性は、エアロゾル状態で3時間、プラスティクやステンレスでは 72 時間までは認められた [いわゆる「空気感染」を、否定すべきでない。] 》


《☆☆2月から3月に武漢の病院でエアロゾルに関して調査した研究では、エアロゾル中の SARS-CoV-2 RNA の濃度は、隔離棟や換気のある病室ではとても低く、患者のトイレのエリアで高かった。多くの公共エリアでの空気の SARS-CoV-2 のレベルは検出限界以下であるが、混み合う傾向のある2ヶ所のエリアでは検出され、人混みの中に SARS-CoV-2のキ ャリアが存在していることを示唆した。初期には、医療スタッフのエリアでμm以下とμ mを超える位大きさにピークのあるエアロゾルに高いウイルス RNA濃度を認めたが、精力的な消毒作業によって検出限界以下となった。これらのエリアでの感染性を確認していないが、エアロゾル感染(空気感染)の可能性があると考えられる。部屋の換気、スペースの開放、防御服の消毒、トイレエリアの適切な使用と感染防止策が、効果的にエアロゾル中の SARS-CoV-2 RNA を抑制すると考えられた 。》


《僅かに湿った布マスク(a slightly damp washcloth)を着用すると、発語時の唾液飛沫を、ほぼ完全に抑制できる [布マスクでも、Spreader にならない目的に役立つ。布マスクをしてもエアロゾル排出が 起こる可能性は残るが、エアロゾルは換気で速やかに消失する。
《◎サージカル・マスクは、インフルエンザウイルスの呼吸時の滴とコロナウイルスのエアロゾル中の検出を有意に減少させ、呼吸時の滴の中のコロナウイルスの検出を減らす傾向が認められた》


 ここで強調されていることは、①空気感染を否定すべきではない、②布マスクはSpreader にならない目的に役立つ、の2点だが、安倍首相が、いわゆる「3密」の回避を提唱し、「アベノマスク」を配布した理論的根拠になっていると思われる。安倍首相は、全国の各世帯で二人がスプレッダーになることを想定し、その二人が周囲の人に感染させないように布マスク2枚を配布したことになる。はたしてその結果やいかに・・・。
 ちなみに古川俊治氏は「自民党新型コロナウイルス対策医療系国会議員団」の一員である。(つづく)
(2020.6.16)