梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《検証・致死率の推移》

 「新型コロナウィルス」感染拡大による《非常事態宣言》は解除されたが、未だに新規感染者はゼロにはならない。早くも東京や福岡では「第二波」の兆し(集団感染の再発)が見え始めている。「第二波」の感染拡大による被害は、「第一波」の2倍以上になるだろうという予測もあるようで、国民はいつまでたっても気を緩められない。一方、これまでの《騒ぎ》は、世界的な陰謀によるもので、日本政府もマスメディアも「それに乗せられたか」、あるいは「便乗して一儲けを企んだか」、要するに「新型コロナウィルス」は「季節性インフルエンザ」に比べれば、感染力は弱く、致死率も低いにもかかわらず、針小棒大な喧伝に活用されたという見解もある。どちらを信じるかは各人の自由だ。
 たしかなことは、「新型コロナウィルス」に《何人が感染したか》ではなく、《何人が死亡したか》という1点であり、それがこの疫病の特質を表すことになるだろう。 
 厚生労働省のホームページに表示されている数値によれば、3月31日における陽性者数は3053人、死亡者は68人(致死率2.3%)であった。その10日後(4月10日)の陽性者数は6677人、死亡者は106人(致死率1.5%)、以後10日間(4月20日まで)、致死率1%台が続いたが、4月21日に陽性者数11791人、死亡者199人(致死率2.3%)と、致死率2%台に転じ、10日後(5月1日)には、陽性者数15747人、死亡者613人(致死率3.0%)で3%台、12日後(5月12日)には陽性者数15874人、死亡者643人(致死率4.0%)、さらに12日後(5月25日)には陽性者数16581人、死亡者830人(致死率5.0%)でついに5%台に達している。
 要するに、「新型コロナウィルス」による致死率は、当初2%台が10日間ほど続き、その後10日間ほど1%台に抑えられていたが、4月下旬(20日以後)から再び2%台に転じ、以後はほぼ10日間ごとに1%ずつ上昇して、直近の5月25日には5%に達したということである。だから、感染の拡大はおさえられているのに、その割には「死者は減らない」ことが、「新型コロナウィルス」の特徴ではないか。未だに治療薬が見つからないということがその原因だろうか。私にはわからない。
 ちなみに外国の致死率をみると、5月27日現在、フランスが最も高く19.6%、以下、イタリア14.2%、英国13.9%、スペイン11.4%、ブラジル6.2%、米国5.8%、ドイツ4.6%、インド2.8%、トルコ2.7%、ロシア1.0%である。日本は5.0%だから《米国よりも低いがドイツよりも高い》という状況にある。当初、ドイツよりも低かったがそれを追い越して米国に近づきつつあるのが現状である。 
 政府が「国民の命を守る」というのなら、感染者ではなく、まず《死者》の拡大を抑えることに総力を結集し、全力を傾けなければならないと私は思う。
(2020.5.29)