梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《検証・厚生労働省のホームページ》

 「新型コロナウィルス」の感染拡大(第一波)は、国内では《すでに》終息したと思われる。5月19日現在で、新規感染者が現れた地域は、北海道、群馬、東京、神奈川、石川、山梨、大阪、愛媛の8都道府県《だけ》となり、人数も合計26人となった。しかし、死者は前日より5人増えて786人、致死率は4.8%だ。厚生労働省のホームページによれば、現在「入院治療等を要する者」は3566人、うち「重症者」は213人とあるので、その中から一人でも死者が出ないようにすることが、喫緊の課題だろう。
 その上で、今は、(第二波の襲来に備えるために)これまでの経過を振り返り、どんなことが、どんな結果を招いたかについて、客観的に「事実に基づいて」検証することが求められている、と私は思う。
 まず、私が情報源としていたのは「厚生労働省のホームページ」だが、そこで示される【現在の状況について】の表の《数値》をどのように理解すればよいのか、たいそうわかりにくかった。表示は5月9日以降、簡略化され、①PCR検査実施人数、②PCR検査陽性者数、③入院治療等を要する者、④うち重症者、⑤退院又は療養解除となった者の数、⑥死亡者数、⑦確認中、の枠内に月日毎の数値が示されている。
 直近の5月19日の欄では、①255675、②16365、③3566、④213、⑤11884、⑥763、⑦163と示されている。
 上の数値のうち①、②、⑤、⑥はこれまでの《累計》であり、③、④、⑦は《現在数》なのだろうか。もしそうだとしたら、厚生労働省は、なぜ、《累計》と《現在数》を同じ表の中に混在させているのだろうか。また、欄外に⑦=②-⑤-⑥という注があるので、計算してみても、その数値はでてこない。したがって、表示されている数値から【現在の状況】を客観的に(数値的に)理解することは困難なのである。
 かろうじて、これまでに16365人が陽性だったが、そのうち11884人は退院しているので、残りは4481人、そのうち「要入院者」は3566人だから、残りの915人は「無症者」または「確認中」なのだろう、ということぐらいは想像できる。しかし、それはあくまで想像に過ぎず、件の表は客観的なデータとはほど遠い代物なのだ。
 この表の作成者も、何を国民に伝えようとしているのかわからずに、ただ上がって来た数値を集計し、示すだけで【現在の状況】を表わしていると、勘違いをしているのではないか。
 国民の知りたいことは、今、①患者は何人いるのか、②病院のベッドは足りているのか、③自分が発症したら診察・治療してくれる病院はあるのか、④それはどこの病院なのか、ということだろう。もし全国で患者数が、③「要入院者」の3566人に過ぎなかったとしたら、「医療崩壊」など起きるわけがない。④重症者が213人だとしたら、人工呼吸器が不足するはずがない。事実は、それよりも10倍、20倍なのか。それとも、それが事実なのに、恣意的に国民の不安を煽り立て「何か」を達成しようとする魂胆があるのか、は不明だが、まず厚生労働省は、ただちに「ホームページ」を《国民が見てすぐにわかるように》改めるべきである。
(2020.5.20)