梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《厚生労働省の責任》

 どうやら《ようやく》、国内の「新型コロナウィルス」感染は、拡大の《鈍化》を見せ始めたようである。連続する3日間の増加率を見ると、4月29日~5月2日が1.05倍、5月1日~4日が1.04倍、5月2日~5日が1.03倍、5月4日~7日が1.02倍、5月5日~8日が1.01倍へと下降傾向を見せている。また厚生労働省のホームページでも、「入院者」の前日比は5月4日から1倍未満(0.99倍)となり、5月7日の前日比は0.97倍であった。「退院者」も5月7日の前日比は1.13倍であり「死亡者」の1.01倍を上回るようになった。また、「退院者」の「入院者」に対する割合は51.6%で上昇しているが、「死亡者」の「入院者」に対する割合は4.8%であり、5月3日以降、上昇を続けている。要するに、感染者の拡大は抑えられ、入院者は減り、退院者は増えつつあるが、死亡者の増加は抑えられていない、というのが国内の現状であろう。
 そんな折(5月8日)、厚生労働省は《感染が疑われる人が相談センターを通じて専門外来を受診する目安について、発熱やせきなどの軽い風邪症状が続く場合には、すぐ相談するように変更した。従来の「37.5℃以上」という体温の目安は削除した》(「東京新聞5月9日朝刊1面)そうである。いったい《どのツラ下げてそんな変更が出来るのか!》というのが国民の感情ではないだろうか。とりわけ、従来の目安を忠実に守って自宅療養を続け、容体が急変して死亡した人、その遺族に対して何と言って詫びるのか・・・・。もし、その人たちの犠牲によって「医療崩壊」が避けられていたとしたら・・・・。言葉を失うばかりだ。
 すでに見たように、入院者は減り、退院者は増える傾向にある。その状況を見て、受診の目安を変更したとしたら、厚生労働省の存在そのものが、感染を拡大させ未だに死亡者の増加を抑えられない「元凶」だと言われてもしかたがない。
 厚生労働省は、これまでの目安が《誤り》であったことを率直に《謝罪》し、しかるべき責任をとらなければならない、と私は思う。 
(2020.5.9)