梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《山中伸弥氏の提言から学ぶこと》

    山中伸弥氏は御自身のサイト「山中伸弥による新型コロナウィルス情報発信」で、五つの提言をしている。
提言1 自分を、周囲の大切な人を、そして社会を守る行動を、自らとろう       提言2 感染者受入れ体制を整備し、医療従事者を守ろう
提言3 検査体制の強化
提言4 国民への長期戦への協力要請と適切な補償
提言5 ワクチンと治療薬の開発に集中投資を
特に、提言4では「ここ1~2週間が山場」だとか「1か月頑張ろう」などという為政者、関係者等からの呼びかけが、国民の誤解を招き、かえって感染拡大を助長しているという指摘は重要だ。山中氏は「専門外」とことわりながら、新型コロナウィルスとの戦いは「数年にわたるかもしれない」と危惧している。
 《 1年どころか、数年の戦いになるという、厳しい予測です。新型コロナウイルスへの抗体の寿命を半永久と仮定していますが、HKU1やOC43と同様に1年程度で抗体が消失するとすれば、状況はより厳しくなります。医療体制の整備、治療薬やワクチンの開発に全力を尽くすととともに、長期の活動制限を強いられる方に対する経済的支援が必須です。日本では、これまでのところ、武漢、イタリア、ニューヨークのような爆発的な感染者増大が起こっていません。一方で行動制限は、最も緩い国の一つでもあります。なぜ緩い対策でここまで持ちこたえているのか、現在のところ不明です。日本特有の何かがあるはずです。その何かを明らかにし、予測に組み込むことが、日本での対策を長期視野から決定するために必須と考えられます。》(4月16日新着情報より)
また、新型コロナウィルスの感染力については以下のようにコメントしている。
《SARSは発症後7日目くらいが感染力のピークであり、発症者を隔離することにより2次感染を防ぐことが出来る。新型コロナウイルスは、発症前に感染力のピークがあるとすると、発症者の発見と隔離のみでは感染の封じ込めは出来ない。社会的距離の徹底が重要である。》(4月17日新着情報より)


 これらの提言、コメントから私たちが学ぶことは何か。  
 まず第一に、新型コロナウィルスと戦うのは、私たち一人ひとりであり、「決して他人任せにしてはいけない」ということである。まず、「うつらない」こと、そして「うつさない」ことに努めるべきだ。ただ、そのことは口でいうほど簡単ではない。なぜなら、第二に、新型コロナウィルスの感染力は「発症前にピークがある(かもしれない)」ということを知るべきなのだ。つまり、自分が発症する前にもう「誰かにうつしてしまった」かもしれないのである。このウィルスの潜伏期間は2週間といわれている。だからもし、2週間目に発症したとすると、それまでの13日間「うつしまくったかもしれない」ことを否定できない。したがって、第三に、「自分が感染しているかどうか」を速やかに確認する必要がある。そのために提言3の「検査体制の強化」が求められているのである。現状は、2月18日から4月15日までの2か月間で、わずかに161552件、全国民の2%にも及ばないのである。
 さればこそ、今のところ「自分が感染しているかどうか」を確認する手段はない。だとすれば、まず「感染している」と仮定して、《うつさない》努力を徹底するべきではないか。そのことが提言1であり、私たちは挙ってそれに従わなければならないのである。
 さらに第四として、そのことは「いつまで」という期限付きの話ではなく、「数年間にわたる」ことを覚悟しなければならない、ということである。山中氏は、他国と比べて《なぜ緩い対策でここまで持ちこたえているのか、現在のところ不明です。日本特有の何かがあるはずです。その何かを明らかにし、予測に組み込むことが、日本での対策を長期視野から決定するために必須と考えられます。》と述べているが、《日本特有の何か》がデータの隠蔽や改ざんによるものでないことを祈りたい。
(2020.4.18)