梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《オーバーシュート(感染爆発)》

 専門家の定義によれば、「オーバーシュート」(感染爆発)とは「2~3日のうちに感染者が2倍以上に増加する」ことをいう。では、日本の現状はどうか。国内全体の感染者は、4月15日現在9355人、2日前の13日現在は8380人だから1.11倍、4日前の11日現在は7589人だから1.23倍で、《2倍以上》にはなっていない。しかし、これを地域別に見ると、香川は2.5倍~5倍、広島1.77倍~3.54倍、島根1.62倍~2.16倍、富山1.24日倍~2.03倍(いずれも2日前~4日前と比べて)になっている。(数値はいずれも「東京新聞」朝刊2面・「新型コロナウィルス感染者が多い国・地域」・「国内のコロナウィルス感染者」の表にもとづく)
 だから、地域によっては「部分的」に感染爆発が、すでに生じていると考えた方がよい。さもありなん、PCR検査抑制の結果、今や国内では無症・有症の感染者が「ほぼ10人に1人」の割合で存在し、その1人がスーパースプレッターとなって、感染を拡大させている怖れを否定できないからである。
 世界各国と比べて、感染者数、死者数は「圧倒的(桁違い)に少ない」ことについて、為政者、専門家からの説明は未だに聞かれない。ただ死者の増加率は4日前と比べて、トルコ1.39倍、米国1.38倍、英国1.35倍と肩を並べて、日本も1.34倍に高まってきた。致死率はかろうじて2.0%に食い止めてはいるが・・・。
 折しも、日本医師会の会長は昨日の「記者会見」で、医療用マスク、防護装備が不足のため威力崩壊の危機が迫っていることを表明した。患者数の倍増で医療崩壊が起きることは、国民として理解できるが、医療用品の不足により医療従事者が感染し、診療・治療ができなくなるという構図は許しがたい。いったい誰の不手際、誰の責任なのか。専門家が専門用品の不足を国民に訴えても、国民はどうすることもできず、ただ不安が増すばかりであろう。医師会は、国民の命を守る臨床家として、しかるべき部署(厚生労働省、経済産業省、外務省等々)に、断固、改善を《要求》するべきだと、私は思う。少なくとも、国民の前で《弱音》を吐くべきではない。
 「うつさない」「うつらない」、そのために国民は「3密」を避け、戦後最大の「辛抱」に耐えているのだから・・・。
(2020.4.16)