梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《医療崩壊危機の要因》

 厚生労働省のホームページ(新型コロナウィルス感染症について・「国内の現在の状況について」)で、3月26日時点での入院者数は1105人で陽性者数2171人に対する割合は50.8%、27日時点で国内事例の要入院者は978人で陽性者数1499人の65.2%であったが、半月余り経った4月12日・13日現在では、入院者数6370人で陽性者7927人に対して80.3%、国内事例の要入院者は6354人で陽性者7355人の86.3%に膨れあがっている。つまり半月前は陽性者の50~65%が入院または要入院だったが、現在は80~86%が入院または要入院になっている、ということである。
 これはいったいどういうことなのか。そのことを厚生労働省は「わかりやすく」説明する責務があると思うが、ただ数字が示されているだけだ。
 この半月間、陽性者の入院率は徐々に増加して60%から80%になった。それはなぜか。人工呼吸器、集中治療等、本来、入院治療を必要としている患者は20%程度といわれている。1270人ほどがそれに相当するが、現在、重篤者は135人であり、要入院者の2.1%に過ぎない。つまり、現在の入院者6300人余りのうち5000人は「隔離」のための入院であり《治療のためではない》と推測せざるを得ないのである。そのために、本来、治療を必要としている患者が十分の医療を受けられないとすれば、本末転倒ではあるまいか。
 さればこそ、軽症患者は「自宅」もしくは「指定場所」で《隔離》する、といった方法が講じられているのだろう。
 いずれにしても、陽性者の症状鑑別診断、的確な措置が、これまで《極めて不十分》(現場任せ)であったことは否めない。それが《医療崩壊の危機》を招いている要因である、と私は思う。
(2020.4.14)