梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《医療崩壊の危機》

 厚生労働省のホームページによると、4月13日12時現在、PCR検査実施人数は78702人で、感染が確認された者(陽性者)は7255人であった。感染者の検査実施人数に対する割合は9.2%である。つまり、今、国民全員が検査を受けたと《仮定》すると、1億2千万人のおよそ1割弱、1200万人弱が感染しているという計算になる。つまり、100人に9人、10人に1人弱の割合で感染者がいるのだから、密閉した空間に密集し密着することは、極めて「あぶない」ということになる。そのことを《強調》しなければ、人々には通じない。
 一方、感染しても8割が快復するともいわれている。だとすれば1200万人のうち960万人は快復する。240万人が入院治療を必要とし、致死率2%として、およそ4万人が落命するという計算も(机上では)できる。
 これが《最悪のシナリオ》だと思われるが、現状はどうか。
陽性者7255人のうち87.5%に当たる6354人が「入院を必要とされている」が、その51.5%に当たる3276人は「軽中度症状者」だ。「人工呼吸器を装着または集中治療を受けている者」は135人、要入院者の2.1%に過ぎない。当面の医療は自力回復が困難な重篤者に集中されなければならない。しかし現在、その対象が135人とはあまりにも少なすぎないか。入院待機中の148人を合わせても283人である。そ
の程度のベッド数を確保できぬはずはない。厚生労働省のホームページによれば、「感染症病床を有する指定医療機関は全国で351あり、ベッド数は3502床と示されている(結核の指定機関は99あり436床)。ただし、1機関(病院)は全国に点在しており、しかもそこのベッド数は1~2床程度なので、入院待機中の148人がすぐに治療を受けられるかどうかは不明である。そこらあたりが《医療崩壊》の実態かもしれない。
 世界各国に比べて、日本の感染者数、死者数は圧倒的に少ない。それは、検査件数も圧倒的に少ない(桁が違う)のだから、当然の結果であろう。今後、潜在している感染者が、さらに感染を拡大させ、結果として2100万人まで膨れあがらないように《祈る》他はないが・・・。せめてもの救いは、死者数はG7の中で(おそらく)最少、致死率も4月13日現在、フランス15.0%、イタリア12.7%、英国12.5%、中国4.0%、米国3.9%、ドイツ2.2%、トルコ2.1%に比べて、日本は最少の1.8%に抑えていることであろうか。ただし、他の肺炎による死者の中に、新型コロナウィルス感染による死者が含まれていない限りだが・・・。
(2020.4.14)