梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

厚生労働省が《やるべきこと》の一つ・2

 日本のPCR検査実施件数は、他国に比べて《圧倒的》に少ない。米国126万7千件余り、イタリア62万件弱、英国17万3千件等に比べて、日本はわずかに6万件程度なのである。検査体制を整えて希望者には誰でも検査を受けられるようにするべきか、それとも検査件数を抑えてこれ以上の感染拡大を防ぐかは、専門家でも意見が二分される由、素人の私には全くわからないが、厚生労働省は国民に対して、なぜ日本の件数が少ないのかについて説明する義務がある。国民(私)は、検査を受けていない人の中に「すでに感染している者」が多く潜在しており、その人たちが、ノーマークで次から次へと感染を拡大しているのではないか、という不安がある。それは同時に、厚生労働省に対する不信となり、疑惑に結びつく。安倍首相は3月28日の記者会見で「水面下で実際は感染が拡がっているのではないか」と問われ「日本が感染者数を隠しているという議論は違う。死者の数は多くない」と説明したしたそうだが、シカゴ大・山口一男教授は「感染者数の公表値が圧倒的に少なく、(現在のデータでは)他国との比較もできない」としたうえで、「死亡者数も年間10万人前後にのぼる一般の肺炎死亡者の中に隠れてしまう」と分析している。(「東京新聞」4月3日付け朝刊・3面・『感染者統計にゆがみ』)
 だから、厚生労働省はこうした苦言・疑惑を払拭するために、毎日、死因別の死亡者数を公表すべきである。新型コロナウィルス感染症による死亡者、一般の肺炎による死亡者、その他の疾患による死亡者、事故による死亡者、死因不明(確認中?)の死亡者等、要するにその日一日の死亡者数の「全体像」を公表すればよいのである。
 今後、新型コロナウィルス感染症による死亡者数だけを公表し続けるかぎり、国民の不安・不信・疑惑は、ウィルス感染以上に、ますます《拡大》するだろう。 
(2020.4.9)