梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《新年度の現状は?》

 厚生労働省のホームページによれば・・・。*( )は前日比、↑は数値の上昇、↓は下降、→は不変。●は《増加率》1.1倍未満、▲は1.1倍以上、■は不変。
 3月30日18時現在、感染者●2625人(1.03倍↓)、●入院者1516人(1.05倍↓)、■退院者1043人(1倍→)、■死亡者66人(1.03倍→) 
 3月31日12時現在(クルーズ船事例を除く国内事例)、▲PCR検査者32497人(1.12倍↑)、●陽性者1953人(1.04倍↓)、●有症状者1494人(1.03倍↓)、▲無症状者233人(1.10倍↓)、●要入院者1423人(1.02倍↓)、●軽中度719人(0.99倍↓)、■重篤59人(1倍→) ■退院者424人(1倍→)、●死亡者56人(1.03倍→)
 ▲は、PCR検査者、無症状者である。
 ●は、感染者、入院者、陽性者、有症状者、要入院者、軽中度者である。
■は、死亡者、重篤者、退院者である。
 つまり、PCR検査者、無症状者の増加率は1.1倍以上で「上昇」しているが、感染者、入院者、陽性者、有症状者、要入院者の増加率は「下降」しており、加速度的に増えているとはいえない。死亡者、重篤者、退院者の増加率は1倍であり、「横ばい」を続けている、ということがわかる。
 では、世界の動向は?・・・・。
3月28日から31日にかけて、世界の感染者数・死者数の「増加」、「致死率」の様相は以下のとおりである。(●は増加率の1.1倍未満、▲は1.1倍以上、■は不明・数値は「東京新聞朝刊」掲載の表《新型コロナウィルス感染者が多い国・地域》にもとづく)
《感染者数・増加人数・増加率・31日現在》(28日と比べて) 
●中国81518人(+124人*1.001倍) ■韓国不明 ▲イタリア101739人(+15241人*1.17倍) ▲イラン44606人(+9198人*1.25倍) ▲日本2900人(+472人*1.19倍) ▲フランス44550人(+11586人*1.35倍) ▲ドイツ62526人(+11402人*1.22倍) ▲スペイン94417人(+22169人*1.30倍) ▲米国164610人(+59773人*1.56倍) ▲スイス16176人(+2963人*1.22倍) ▲英国22141人(+7562人*1.51倍)
《死者数・増加人数・増加率・31日現在》(28日と比べて)
●中国3305人(+10人*1.003倍) ■韓国不明 ▲イタリア11591人(+2457人*1.26倍) ▲イラン44606人(+381人*1.15倍) ▲日本77人(+12人*1.18倍) ▲フランス3024人(+1029人*1.51倍) ▲ドイツ557人(+200人*1.56倍) ▲スペイン8289人(+2499人*1.43倍) ▲米国3170人(+1459人*1.85倍) ▲スイス373人(+138人*1.58倍) ▲英国1408人(+649人*1.85倍)
《致死率・31日現在》(↑、↓、→は28日と比べて)
 中国4.0%→、韓国不明、イタリア11.3%↑、イラン6.4%↓、ドイツ0.8%↑、米国1.9%↑、フランス6.7%↑、スイス2.3%↑ 英国6.3%↑、日本2.6%→。
 感染者の増加率が最も高いのは米国(1.56倍)であり、以下英国(1.51倍)、フランス(1.35倍)、スペイン(1.30倍)、ドイツ(1.22倍)・スイス(1.22倍)、日本(1.19倍)、イタリア(1.17倍)という順である。中国は1.1倍未満で「横ばい」を続けている。
 死者の増加率が最も高いのは、米国・英国(1.85倍)であり、以下スイス(1.58倍)、ドイツ(1.56倍)、フランス(1.51倍)、スペイン(1.43倍)、イタリア(1.26倍)、日本(1.18倍)、イラン(1.15倍)という順である。中国は1.1倍未満で「横ばい」を続けている。
 致死率が最も高いのは、イタリア(11,3%)であり、以下フランス(6.7%)、イラン(6.4%)、英国(6.3%)、中国(4.0%)、日本(2.6%)、スイス(2.3%)、米国(1.9%)、ドイツ(0.8%)という順である。
 注目すべきは《感染者》よりも《死者》である。日本の死者の増加率は1.18倍であり、欧米諸国よりも低い。致死率も2.6%に抑えられているが、ドイツ、米国、スイスよりは上回っている。《したがって》今後、どうすれば死者を増やさないですむか、という一点が、重大かつ切実な課題である。まず、医療体制を整えることが第一、次に感染者をすみやかに見つけること(検査体制の整備)、感染者は自分のウィルスをまき散らさないこと(自粛)、感染を防ぐための一人一人の努力、であろうか。
《蛇足》
 メディアは「東京最多78人感染 国内累計2000人超」(「東京新聞」4月1日付け朝刊・1面・トップ記事)などと報じているが、その数字の《意味》を説明しなければ、いたずらに読者の不安をかき立てるだけだろう。では、今、インフルエンザに感染している都民・国民が何人いるか。その数も併記すべきなのだ。
 東京都は、あらたに7人の死亡を明らかにしたそうだが、では同時期に全体で何人の死亡者があったのか、老衰?、がん?、心疾患?、脳疾患?、事故?自殺?それらの数も明らかにしなければ、7人が「多いものやら少ないものやら」判断できないのである。 
(2020.4.1)