梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

《「新コロ」戯言》

    新型コロナウィルス感染におびえ、感染拡大よりも不安拡大が蔓延し、日本中「一億総うつ化」の様相を呈しているが、その打開・改善のために(気分転換のために)、他愛もない戯言を献上しよう。 
 その昔、新潟の禅僧・良寛和尚は震災に遭った友人、俳人・山田杜皐(やまだとこう)に「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候、死ぬる時節には死ぬがよく候、是はこれ災難をのがるる妙法にて候」という見舞いの手紙を送ったという。生きている限り、災いは避けられず、死もまた然り。ジタバタしても始まらない。潔く運命を受け入れようということらしい。どうせ人間、一回は死ぬのだ、と諦めることが肝心。若い人には酷な話だが、今回の死者は高齢者がほとんどだ。高齢者(私)はもう十分に《生きた》。次は、死ぬ番だと覚悟しなければならない。良寛は辞世に「うらをみせ おもてを見せて ちるもみじ」という句を詠んだといわれるが、真偽のほどはわからない。
 さて、今回の事態によって「史上初」という言葉が飛び交っている。
 近代の日本は、戦争を4回経験した。そのうち3回は勝利したが4回目(第二次世界大戦)に敗北した。「史上初」であった。その中で、およそ300万人以上の命が失われたという。そして今、また国民の命が危険にさらされている。この疫病禍による犠牲者が300万人を超えればまさに「史上初」だが、その前にコロナウィルスは矛を収めるだろう。
 私の勝手な素人判断(特に根拠はない)、最多でも感染者は2000万人、死者は20万人未満にとどまる。《だから》ジタバタしなさんな。落ち着いて、日々の生活を《粛々と》送ればよいのである。
(2020.3.30)