梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「外来語もまん延」

    漫画(佐藤正明氏・「東京新聞」3月28日付け朝刊)のタイトルである。新型コロナウィルスだけでなく「外来語もまん延」している。四コマ漫画の一は、老爺が自宅の居間でこたつに入りテレビを観ている。画面からは「スーパースプレッター」「トリアージ」「クラスター」などという外来語が聞こえてくる。二では、さらに「オーバーシュート」「ロックダウン」という声も・・・。三で、連れ合いの老婆が買い物から帰宅した気配、「お帰り」と声をかけた。そして四、老爺、テレビを観ながら曰く「なんでも、スーパーの『スプレッダ』の近くで、《とりあえず》《暮らした》《大橋勇人》さんが《六段》だそうだ」。老婆、荷物を持ったまま居間の廊下で「コロナのニュースじゃないんだね」。 
 ちなみに、スーパーの「スプレッダー」とは 《多くの人への感染拡大の感染源となった患者》のこと、《とりあえず》とは、《患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと》、《暮らした》とは《感染者の集団》のこと、《大橋勇人》とは、《感染爆発》のこと、さらに《六段》とは《都市封鎖》のことであった。
 以上、まん延する外来語を、老爺はかろうじて日本語に訳した(つもりだった)が、その意味は全く伴侶には(おそらく自分にも)伝わらなかったというお話、オミゴト!。
(2020.3.28)