梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《安倍首相の「舌足らず」》

  3月16日から17日にかけて、世界の感染者数・死者数の「増加」の様相は以下のとおりである。(●は増加率の1.1倍未満、▲は1.1倍以上、■は不明・数値は「東京新聞朝刊」
掲載の表《新型コロナウィルス感染者が多い国・地域》にもとづく)


《感染者数・増加率》(16日→17日)
●中国21人(1.0002倍) ●韓国84人(1.01倍) ▲イタリア3233人(1.13倍) ●イラン1178人(1.07倍) ●日本46人(1.02倍) ■フランス人不明 ▲ドイツ1174人(1.24倍) ▲スペイン2434人(1.27倍) ▲米国941人(1.26倍) ■スイス不明
《死者数・増加率》(16日→17日)
●中国13人(1.004倍) ●韓国5人(1.06倍) ▲イタリア349人(1.19倍) ▲イラン135人(1.15倍) ●日本1人(1.02倍) ■フランス不明 ●ドイツ1人(1.08倍) ▲スペイン194人(1.65倍) ▲米国20人(1.30倍) ■スイス不明


 これを見ると、中国、韓国、日本の増加率は、感染者数・死者数ともに1.1倍以下に抑えられているが、スペインでは感染者が1.27倍、死者が1.65倍に増えている。米国も感染者が1.26倍、死者が1.30倍に増えている。イランは感染者が1.1倍未満に抑えられているが、死者は1.15倍に増えている。ドイツは感染者が1.24倍に増えているが、死者は1.1倍未満に抑えられている。フランス、スイスは16日と17日の数値が同じなので増減は不明である。英国も16日の時点で感染者1372人、死者35人というデータがあるだけなので増減はわからない。
 今や新型コロナウィルスは、全世界130以上の国・地域に蔓延し、感染者は16万人といわれている。(「東京新聞」3月18日付け朝刊・11面)だから、上記の国以外の状況も見極めなければならないが、今後ますます拡大の方向に進むことは間違いないだろう。 
 そんな折、安倍首相は先進7か国(G7)首脳のテレビ電話会談後、東京五輪・パラリンピックについて「完全な形で実現することで支持を得た」と語ったそうである。まるで、開催の是非を決めるのは「自分の権限である」というような言い草だが、その内容も《例によって》、全くの「舌足らず」である。「完全な形で実現する」とは何事か。今、国民の関心事は「予定通り(7月末から)開催するのか」という一点だろう。だから「予定通り開催するかどうかは私には決められませんが、もし開催の場合は、内容を省略したり、無観客で競技をしたりすることは避けた方がよいと思います。その考えをG7の首脳に伝え、賛同を得ました」くらいに言えばよいのである。一方、首相の言辞を受けて(かどうかは不明だが)、菅官房長官、橋本五輪相は「予定通り(7月末から)開催する」と明言した。大会組織委員会・森会長も同様の発言をしているので、国民はまさに「五里霧中」、《例によって》そのストレスに耐えるほかはない。もし延期にでもなったら、菅氏、橋本氏、森氏は「これまでの発言」に対してどのように責任をとるつもりなのだろうか。
 まもなく国内の聖火リレーが始まるが、すでに「完全な形で実現」しないことは明らかだ。開会式が延期されるかもしれないのに、聖火を運ぶ選手たちの心境やいかに?安倍首相にとって、聖火リレー(なんぞ)はオリンピックの勘定には入っていないらしい。「すでにもう完全な形」は崩れているのに・・・。
(2020.3.18)