梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染者数(国内)の《推移》

 今、国民の最大の関心事は、国内の新型コロナウィルス感染が今後「拡大するか、終息するか」の1点に絞られるだろう。
 そこで、「東京新聞朝刊」に掲載された《国内の新型コロナウィルス感染者》というタイトルの表により、その数値を3月3日から辿ってみる。
《3日》国内での確認例260人(死者6人)、チャーター機帰国者14人、クルーズ船の乗船者706人(死者6人)、合計980人(死者12人)
《4日》*表掲載なし。合計999人(死者12人)
《5日》国内での確認例312人(死者6人)、チャーター機帰国者14人、クルーズ船の乗船者706人(死者6人)、合計1032人(死者12人)
《6日》*表掲載なし。合計1055人(死者12人)
《7日》国内での確認例364人(死者6人)、チャーター機帰国者14人、クルーズ船の乗船者696人(死者6人)、合計1074人(死者12人)
 以上から、どのようなことが判るか。
①感染者数の合計は980人→999人(+19人)→1032人(+33人)→1055人(+23人)→1074人(+19人)と増加の一途
を辿っている。1日ごとの増加人数は19人→33人→23人→19人と凹凸を繰り返しているので、まだ予断を許さない状況にある。
②一方、クルーズ船の乗客者は3日の時点で706人だったが、7日には696人(-10人)に減少している。
③死者数は12人のまま増加していない。
 したがって、まだ予断を許さない状況にあるが、②、③のような明るい材料もある。クルーズ船の乗客者のうち10人が完治したことがわかる。
 また、世界の動向と比べても、死者数が増加していない国は少ない。「東京新聞朝刊」に掲載された《新型コロナウィルス感染者が多い国・地域》というタイトルの表を見比べると、5日から6日にかけて、中国本土では30人、韓国で3人、イランで17人、フランスで3人、スペインで2人、米国で3人増加していることがわかる。日本同様、死者数が増加していない国はイタリア(107人のまま)、香港(2人のまま)だけである。さらに、死者が全く出ていない国は英国(感染者90人→90人)とドイツ(感染者349人→534人)、シンガポール(感染者112人→117人)であった。
 《だから》日本の現況は《最悪》とはいえない。にもかかわらず、国民の生活が《最悪に近い》のはなぜか。為政者が「無能」だからである。「国民の安全、生活を守る」などと《決まり文句》を並べるだけで、いっこうに人々の不安・不便を解消する気持ちが感じられない。
 そんな折り、今日の「東京新聞朝刊(2面)」に掲載された佐藤正明氏の時事漫画「早く収まってほしい」は秀逸であった。安倍首相と加藤厚労相が、感染者数の推移グラフを眺めている。赤線は「拡大に向かう」を表し、青線は「拡大を抑え終息に向かわせる」を表しているが、安倍首相は、もう1本の、拡大することなく減少し続けている緑の線に注目した。「このグリーンの線だといいね・・・っていうか、これ何?」と指さす。加藤厚労相、顔を上げられず「・・・内閣の支持率です」、たまらず安倍首相「・・・ていうか、何でそんなもの描くのー!!」。
(2020.3.7)