梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私の《病状管理》・7

 もし健康ならば、体温や脈拍、血圧を毎日測るなどということはしないだろう。しかし、私は2017年10月(73歳時)から血圧、脈拍を毎日測り続け、その結果を「血圧手帖」(折れ線グラフ)に記してきた。手帖は1冊26頁で、これまでに4冊費やした。にもかかわらず記録を始めてから8か月後、「急性心筋梗塞」を発症した。ということは、それまで記録を残しても、発症を未然に防ぐことはできなかったことを意味する。やむなく10日間入院、退院後(2018年7月以降)も、毎日、習慣のように血圧、脈拍に体温も加えて測定してきた。その経過は「心不全手帖」に記されている。こちらは1冊45頁で2冊目に入る。 いったいいつまでそんなことを続ければよいのだろうか。そんな記録が何の役に立つというのだろうか。今までに、医師も看護師もそれを一瞥することはあったが、じっくり精査することなどなかったではないか。そこで私は決めた。もう、記録を残すことは終わりにしよう。そんなことに手間をかけることはやめよう。そのエネルギーを他に向けよう。
 体温や血圧、脈拍なんて測らなくても、自分で自分の体調をチェックできなければ意味がない。測定機器の数値に一喜一憂する前に、きょうの気分はどうなのか、体調はどうなのか、おのずと感じ取れるようにならなければならない。元の健康体に戻ることは困難だとしても、みずから「病人」になる必要はない。
 だから、当面はこれまで同様に測定を続けるにしても、記録することは(異常値以外は)やめる。以上が、今年の《病状管理》第一歩である。 
(2020.1.3)