梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

2016年のブログ記事

2016年(ムラゴンブログ全体)
  •  『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・1

    【序】  『「自閉」を開く 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)を精読する。この本の目次を見ると「第1部 理論 第1章 ウィング理論を超えて 第2・3章 田口理論をめぐって 第4章 言語臨床から見た田口理論 第5章 母子関係と感覚統合」「第2部 方法 第6章 ... 続きをみる

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  • 《だから》自閉症は治らない

     なるほどこれでは「自閉症」は治らない。現状では「治りようがない」からである。「自閉症」と呼ばれる人、子どもたちの周囲に居る人、例えば両親、例えば兄弟、例えば親族、そして療育・教育に携わる人々の大半、もしくはほとんどが「自閉症は治らない」と思っているからである。彼らは、自閉症の要因は「脳の機能的障... 続きをみる

  • 「一笑一若、一怒一老」

        精神科医・斎藤茂太氏が、「一笑一若、一怒一老」という人生術を提唱している。笑えば笑うほど若くなり、怒れば怒るほど老いが進む、という意味である。それかあらぬか、昨今の日本社会には「笑い」が蔓延している。テレビ、ラジオ、CM画像に登場する人、人、人のほとんどが「一様に」笑っている。フランスの劇... 続きをみる

  • 子育ての「基本」

     子育ての「基本」は、子どもを両手でしっかりと「抱きしめる」ことである。そのとき、大切なことは、抱きしめられる子どもと抱きしめる人(主として親)の双方が、ともに「心地よい」という感覚、感情を共有できるかどうかということである。    最近では、「抱っこ紐」を利用する親をよく見かける。親は両手で子ど... 続きをみる

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  • 「自閉症」・《負のスパイラル》

     平成15年、文部科学省は「自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」と定義した。厚生労働省もホームページで、「自閉症の原因... 続きをみる

  • 人を守るのは人

     車椅子で電車に乗り降りする際には、駅員が付き添う。しかし、白杖を持った視覚障害者に駅員が付き添う姿はあまり見かけない。なぜだろうか。ホームからの転落を防ぐために、ホームドアの設置が叫ばれているが、膨大な費用がかかる。その費用よりも事故処理の費用の方が安く済むといった意見もあるようだ。豊かで便利な... 続きをみる

  • 相模原殺傷事件・容疑者の「ハードル」

     相模原殺傷事件の容疑者が「作戦」(犯行)を実行するまでには、いくつかのハードルがあった。その一は、衆議院議長の承認・許可を得ることである。彼は手紙の中で「ご決断頂ければいつでも作戦を実行致します」と述べている。しかし回答は得られなかった。その二は、施設長との面談である。施設長は彼の「優生思想」を... 続きをみる

  • 相模原殺傷事件・容疑者の「手紙」

     相模原殺傷事件の容疑者は、犯行のほぼ5カ月前、衆議院議長宛に手紙を綴っている。その内容を要約すると以下の通りである。 ①私は障害者総勢470名を抹殺することができる。世界経済の活性化、本格的な世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考え、本日行動に移した。 ②障害者は人間としてではなく、動... 続きをみる

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  • 天皇の《復権》

     大日本帝国憲法第一條には「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」、また、第三條には「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とある。(「万世一系」とは「永久に一つの系統が続くこと」だから)天皇は永久に大日本帝国を統治し、しかも神聖だから侵してはならないという規定である。つまり「天皇主権」主義である。しかし... 続きをみる

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  • 「老いる」ということ・Ⅳ

     実にさびしく、情けない限りだが、私の人生は「終末」を迎えたようである。まだしばらくは、心臓をはじめとする内臓器官は機能するかもしれない、しかし、目がかすんできた。新聞、書物、ワープロ、ブログなどで「読み書き」をすることが億劫になってきた。このまま無理強いすれば、身辺処理、移動など、人間としての基... 続きをみる

  • 「老いる」ということ・Ⅵ

     (いつ終わりになってもおかしくない)私の人生は終末期を迎えた。物置同然の仕事部屋には、小・中学校時代の教科書、高校時代の詩集、大学時代の文学書、卒業論文、そして現役時代の専門書、研究論文などが、埃にまみれて山積している。梅雨明け前までに廃棄処分しようと思ったが、仕事はかどらない。一冊一冊どれを取... 続きをみる

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  • 「老いる」ということ・Ⅴ

     三十代をミソジ(三十路)、以降を同様にヨソジ(四十路)、イソジ(五十路)、ムソジ(六十路)という。では七十代は・・・?、多分、ナソジ?、そう思いながら、「七十路」をインターネットで検索すると驚いた。冒頭のサイトから高齢者のポルノ画像で埋め尽くされている。タイトルに曰く「七十路の動画89件 動画エ... 続きをみる

  • 「老いる」ということ・Ⅲ

     明け方、二階のベットで寝ていると、どこかでカラスが鳴き出した。カー、カーという声が、だんだん近づいて来る。数羽がお互いを確かめ合うように、カーと鳴くと、カーと応える。どうやらそのうちの一羽が窓の上まで来たらしい。ひときわ大きな声でカーと鳴いたので、私は思わず起きあがり、窓を開けて上を見た。そこに... 続きをみる

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  • 「老いる」ということ・Ⅱ

     いつもは午前中に外出をするが、なぜか気が乗らず、その分だけパソコンに向かう時間が延びたためであろう、腰に激痛が走り、立ち振る舞いが不自由になった。症状は「ギックリ腰の一歩手前」で、歩くこともままならない。重たい物を持ち上げたわけではない。パソコンの文字が小さいので前屈みになる姿勢が続いただけであ... 続きをみる

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  • 教訓Ⅱ・《殺されても殺すな!》

     「チャンスは前髪でつかめ!」「後ろを振り向くな!」「一歩後退、二歩前進!」などなど、若者への檄はとにかく未来に向かうことを是としているようです。そのことに異論はありませんが、前に進むためには「今、自分はどこに立っているか」というスタート・ラインを明確にすることが大切です。まず、今、自分がここに居... 続きをみる

  • 教訓Ⅰ・《未来の子どもたちへ》

     今から一万年ほど前、地球という星がありました。そこにはたくさんの生き物が住んでいましたが、中でもHという動物はたいそう力が強くいばっていました。銃という武器を使って他の動物たちを追い払い、容赦なく殺し、食べ、毛皮を剥いで寒さをしのいだりしていました。Hは小賢しい「知恵」を身につけていたので、火を... 続きをみる

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  • 軽井沢事故の「直接的原因」

     東京新聞朝刊(27面)に、「軽井沢事故『大型バスは苦手』死亡の運転手 会社に訴え『人手不足』技術確認せず採用」という見出しの記事が載っている。それによれば「土屋運転手は、今月三、四の両日にもスキーツアーバスに乗務しており、事故現場と同じ碓氷バイパスも走った。この際には、経験の長い、もう一人の運転... 続きをみる

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  • 乳幼児虐待死の「責任」

     東京新聞13日夕刊(7面)に「狭山・3歳児死亡 同居の男『湯かけた』 全身にあざ 日常的に虐待か」という見出しの記事が載っている。別の報道では、その女児がベッドの上で「正座」している映像もあった。「そうすれば、パパが怒らない」からだという。その幼気な姿は愛おしく、私の脳裏から離れない。滲み出てく... 続きをみる

  • 防衛大生の「歴史認識」

     東京新聞朝刊発言欄に「大東亜戦争は侵略行為ゆえ」というタイトルの記事が載った。投稿者は93歳の阿伽陀しげみ氏、私は三年前にも氏の投稿(「靖国参拝は戦争の美化」)から多くを学んだが、今回も深い感銘を受けた。本紙特報面、映画「第九条」の紹介記事に触れ、防衛大生が「大東亜戦争は侵略戦争ではない。白人か... 続きをみる

  • 三者の「言い分」

     クリスマス・イブの夕方、駅前のスーパーは買物客でごったがえしていた。10箇所ほどあるレジ・カウンターにも長蛇の列ができていた。その他に自動精算機を備えた場所がある。6台が設置され、客は自ら商品のバーコードを機器に呈示して会計処理を行う。そこにも、多くの客が殺到していた。床には矢印が描かれており、... 続きをみる

  • 鰤大根

    ◆鰤大根母の面影囲炉裏端 ◆鰤食らう孫の未来は不透明 ◆駅伝の号砲を待つ冬の空 ◆水鳥の羽音に見入る猫の背や ◆蕪蒸酌み交わす友探しけり 【補説】  私の夢は「俳人」だったが、現実は「廃人」に終わった。 (2016.12.1)

  • 冬日

      もう十分見るべきものは見つ冬日 【補説】  欲を言えばきりがない。思い残すこともない。知盛を倣って終焉の日を迎えよう。

  • 死という字

       死という字頻りに浮かぶ冬の朝   【補説】  同時代を生きた人々の訃報が次々と伝えられる。私にも「死」が迫っていることは確かである。今朝の冷え込みはことのほか身に沁みた。

  • 紅葉

      園児らのキラキラ星に降る紅葉 【補説】  保育園の子どもたちが踊っている。園庭の銀杏、カエデが降り注ぐ。平和な日本を守らなければならない。 (2016.11.21)

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  • 木の葉髪

     思うこと遂げざる日々や木の葉髪 【補説】 「チャンスは前髪でつかめ!」、その思いを果たせぬまま、枯れ木のように老いてしまった。

  • 《だから》自閉症は治らない

     なるほどこれでは「自閉症」は治らない。現状では「治りようがない」からである。「自閉症」と呼ばれる人、子どもたちの周囲に居る人、例えば両親、例えば兄弟、例えば親族、そして療育・教育に携わる人々の大半、もしくはほとんどが「自閉症は治らない」と思っているからである。彼らは、自閉症の要因は「脳の機能的障... 続きをみる

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  • 今日の柿

     病葉に実もたわわなり今日の柿 【補説】  数十年来、見事な結実を重ねてきた陋屋の柿の木に異変が生じた。放射能汚染の影響か、葉に生気がない。実もたわわだが色づかず、鴉に啄まれることもなく、朽ちていく。 (2016.10.29)

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  • 「九条」

     「九条」に感謝を告げて旅立つ日 【補説】  「九条」のおかげで、私は兵役に服することはなく、人を殺すことも、殺されることもなく、穏やかな七十余年を過ごすことができた。そして今、静かに旅立つ日を待っている。(2016.10.25)

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  • 君が代

     君が代の不戦を説きし君逝きぬ 【補説】 三笠宮殿下の御逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。 (2016.10.27)

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  • 瀬戸内寂聴氏の晩節

     スポニチアネックス(10月14日配信)に「瀬戸内寂聴さん 謝罪」という見出しで、以下の記事が載っている。〈今月6日に福井市内で行われた死刑制度をめぐる日弁連のシンポジウムで、ビデオメッセージで「殺したがるバカどもと戦ってください」などと制度を批判したものの、犯罪被害者遺族らからやインターネット上... 続きをみる

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  • 峠道

    秋風と戯れて往く峠道 【補説】  独り七十路坂を下りていく。友だちは秋の風と枯れススキ。そして俗謡が聞こえる。「何にも聞かないで つらい恋でも想い出にゃ いいことばっかりが 残るのよ」(山口洋子) (2016.10.2)

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  • 秋の声

     往く人の後ろ姿や秋の声 【補説】  知人の作物に「死なないでほしい昔の男達」という秀句があった。旧友も一人去り、二人去り、私は独り秋の声を聞いている。    天高く「トツゼンノサヨナラ」が走る馬場 【補説】  「トツゼンノサヨナラ」は父・オレハマッレテルゼ、母・ユメミツキの2歳牝馬、終始、後方の... 続きをみる

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  • 林檎

      二つ三つ孫の歯形の林檎かな 【補説】  幼子が、ようやく生え揃った乳歯で、真っ赤な林檎に齧りついた。祖母は微笑みながら林檎を「うさぎ」に切り揃え提供する。縁側で秋の日射しをいっぱいに浴びながら・・・。  林檎箱卓袱台がわりの新所帯 【補説】  若夫婦の住処は四畳半一間、故郷から送られてきた林檎... 続きをみる

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  • 彼岸花

    彼岸花手を振る人を振り返る 【補説】  俗謡に「いい奴ばかりが先に逝く どうでもいいのが残される」とあるが、私は未だに此岸に居て、逝ってしまった人が手を振る姿を思い浮かべている。今年もまた陋屋の玄関先には、彼岸花が一輪、花開いた。 (2016.9.27)

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  • 有効な渇水対策を!

     7月末現在、矢木沢ダムの貯水率は34.8%である。予報では今夏は残暑が厳しいという。ダムの管理者は節水を呼びかけているが、貯水率34.8%という数字の意味を住民に知らせることが肝要だ。住民は、このまま雨が降らないとしたら、《あと何日で》給水制限(断水)をしなければならなくなるか、という情報が知り... 続きをみる