梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「自閉症 治癒への道」解読・《1》第1章・まえがき

《第1章 まえがき》
【感想】
 冒頭は「『自閉症は治らない』という結論は誤りだ」という見出しで書き始められている。その結論は①1970年代初頭、BBCテレビ番組(英国自閉症児協会代表者の意見)、②1978年秋、オックスフォードの講演(サマーコート校長・Sybil Elgarの言葉)、③1977年「早期小児自閉症」(Wing,L)、④1979年「自閉症児の治療教育 神経生理学的モデルによる理論と実践」(DesLauriers,A.M.and C.F.Carlson)、1970年「子どもの自閉症」(O'Gorman,G)、1982年「自閉症 その概念と治療に関する再検討」(Rutter,M.and E.Schopler)等々で述べられているが、〈「原因についての明確な考えもなしに行われてきた過去におけるわれわれの努力は、多分に経験的なものであり、おおかた無効なものであった」という1970年に書かれたオゴーマンのことばは、今も十年前と同様の妥当性をもっている〉と著者は書いている。また〈自閉症研究が始められてからまだたかだか二、三十年しかたっておらず、その研究もほんの一握りの人々によって行われてきただけであることを考えれば、公正に見て、自閉症に関してすでに最終的な結論が得られているとはとても考えられない〉とも述べている。その時から四十年経った現在もなお、「自閉症は治らない」という結論が横行跋扈しているように、私には思えるのだが・・・。著者は、この本の中で①自閉症に対するよりよい理解、②より効果的な治療法および予防法の探求を目指している、ということであった。①については、〈「動物行動学的」方法論を適用することにより、その結果としてひとつの新しい解釈に到達した〉そうである。②については、〈自閉症児とその両親に対するいくつもの新しい治療方法が開発され、実践され、すでにかなりの実質的成功を収めている。この種の新しい、より有効な治療法のいくつかの側面については6章と9章で述べる〉とのこと、私の期待は高まるばかりである。(2013.11.13)