梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

国技・大相撲の「将来」

 日本相撲協会は20日の臨時理事会で、白鵬に来年1月の給与全額と2月の給与半額を、鶴竜に1月の給与全額を不支給とする報酬減額処分を科したという。あわせて、伊勢ヶ浜親方は理事辞任(降格)、八角理事長も任期3ヶ月の報酬全額返上ということで、事態は収まりそうである。その結論は、先だって行われた横綱審議委員会(協会の諮問機関)の進言(答申)を受けて判断されたと思われる。進言は、元日馬富士は引退勧告相当、白鵬と鶴竜には厳重注意という内容であり、さらに白鵬の言動や取り口、また貴乃花親方に対する非難までも添えられていた。まさに、世論を忖度した優柔不断の極みであると私は思う。半年前の7月、北村正任委員長は白鵬が通算勝利数を1050まで伸ばしたことに触れて「多分、誰にも破られない記録。大変な偉業だ」と評価し、特別表彰することを決めたではないか。その「偉業」の中に、白鵬の姑息な取り口(猫だまし、かちあげ、張り手、立ち合い前の汗等々)が含まれていたことに気づかなかったとすれば、審議委員として失格である。今さら、横綱相撲のあり方を云々できる立場ではなかろうに・・・。
 とまれ、あとは貴乃花親方の扱い(処分)だけが残されて騒動の幕は下されようとしているが、「誰が加害者で誰が被害者かを明確にして、公正に裁かなければならない」という正論を全うすることができるかどうか。そのことが今後の日本相撲協会に問われていることはたしかであろう。当事者・元日馬富士の除名、関係者・白鵬の解雇、同席者・鶴竜の出場停止、照ノ富士、石浦の報酬減額といった「厳しすぎる処分」を科さなければ、国技・大相撲の将来はない。いうまでもなく、被害者・貴ノ岩、親方・貴乃花が非難される理由は「毫もない」というのが、私の判断である。(2017.12.21)