梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「衆院選2017」・《自民党大勝は真っ赤な嘘》

 「衆院選2017」の結果は、(予想通り)自民党の大勝に終わったように見える。しかし、投票率、得票率、議席数等々の数値(の関係)を詳細に検討すれば「大勝」という評価が、真っ赤な嘘であることがわかる。まず第一に、自民党の得票率は選挙区で47.82%、比例代表で33.28%であった。この数値は嘘ではないが、国民のおよそ48%が自民党候補者を、33%が自民党を選んだわけではない。投票率が53.68%だから、有権者のほぼ半数強が投票し、その中の48%、もしくは33%が自民党に投票したということである。つまり、有権者の中で自民党候補者もしくは自民党に投票したのは、多くて27%程度(10人の内多くて3人)に過ぎないということである。第二に、選挙区における自民党の得票数はおよそ2650万票強であった。以下、希望の党1144万票強、公明党1021万票強という順であったが、議席数は自民党263、希望の党18、公明党8、ということである。それが小選挙区の特徴であるか否かに関係なく、「正確に民意を反映していない」ことは明白である。第三に、より民意を反映していると考えられる比例代表の得票率は自民党33.28%、希望の党17.36%、公明党12.51%、共産党7.90%、立憲民主党19.88%、維新の党6.07%、社民党1.69%、こころ0.15%、諸派1.15%である。この数値を、今あえて(民意を正確に反映していない選挙区の得票率を無視して)衆議院定数465に当てはめて計算すると、各党の議席数は以下の通りになる。自民党154、希望の党80、公明党58、共産党36、立憲民主党92、維新の党28、社民党7、諸派5。この数字こそが民意に近いと思われるが、実際の議席数は自民党284(+130)、希望の党50(-30)、公明党29(-29)、共産党12(-24)、立憲民主党55(-37)、維新の党11(-17)、社民2(-5)ということで、自民党を除いたすべての党が得票率に見合った議席数を獲得していないことがわかる。以上が「自民党大勝」という評価が、真っ赤な嘘であることの根拠である。(2017.10.24)