梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「森友学園《問題》」の構図

 「森友学園」の籠池理事長は、小学校の建設に当たって安倍首相から100万円の寄付を頂いた旨の発言をした。安倍首相は「寄付はしていない」と否定している。それは当然の話で、もし「寄付した」と言えば、直ちにこれまでの「森友学園とは一切関わっていない」という言辞が、すべて《嘘》になるからである。口が裂けても「寄付した」とは言えないだろう。籠池理事長と安倍首相は「正反対」のことを述べているのだから、どちらかが《嘘》をついていることになる。
 自民党の二階幹事長は、安倍氏は一国の総理大臣、籠池氏は「あんな人」だから、どちらを信用するかは知れたこと、というような言辞を弄していたが片腹痛い。国民(私)はどちらも信用していないのである。
 そもそも「森友学園《問題》」の構図とは、以下のごとくであろうと推察できる。
大阪市にいともユニークな幼稚園があった。園長は「日本会議」のメンバーであり、園児に「教育勅語」を暗誦させたり、「安倍首相がんばれ!安保法制国会通過よかったね」などと運動会で宣誓させたりしている。その存在を頼もしく、素晴らしいと感じている政治家連中がいた。彼らは園長を励まし、卒業園児の就学先として、新しい小学校を新設するように促す。園長は「その気になって」、準備を始める。大阪府の小学校認可・校地の獲得のために奔走、政治家連中の助力を仰ぐ。かくて、めでたく開校の目途がついたはずだったが、思わぬ「落とし穴」が待っていた。園長は国有地を「九割引き」という格安の値段で買い取り、校舎建設の契約書を三通も捏造していたことが発覚したのである。誰がそのことを暴露したか。園長は、園児の保護者だと確信しているが、それはきっかけに過ぎない。安倍首相の存在を不快に感じている政治家連中であることは明白であろう。すべてが、トントン拍子で順調だった園長にとっては、まさに「晴天の霹靂」、気がついたら、自分の周囲にいた仲間(政治家連中、「日本会議」の面々)は雲散霧消し、孤立無援状態になってしまった。園長は騙されたのである。「もう誰も信用でけへん、腹いせに野党議員に全てをブッチャケたろか!」、文字通り「昨日の友は今日の仇」「昨日の敵は今日の友」といった思いを噛みしめているに違いない。だが、世の中、そんなに甘くはない。園長が騙されたのは自業自得、昨日も今日も「友」は存在しないのである。
 政治家連中は、園長を《証人喚問》して真相を明らかにするなどと声高に主張しているが、結果は見えている。真実は何一つ明らかにならないだろう。なぜなら、園長、首相、財務相、財務省幹部、大阪航空局、大阪府、大阪市、・・・等々、すべての関係者が、さまざまな《嘘》をついているからである。「知らない」「記憶にない」という《嘘》は、証明する必要がないからである。《嘘》は、根拠を示されてはじめて《嘘》になる。嘘八百の面々が「証拠」を残すはずがない。ただ一点、《9億円余りの国有地が8億円余り値引きされて売却されたことは《嘘》ではない。そして、その取引が《不当》であったことも《嘘》ではない。
(2017.3.17)