梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

混沌とする「受動喫煙対策」の解決方法

 インターネットの「TBSニュース」に以下の記事が載っている。


◆自民、受動喫煙対策で党内議論が二分
  受動喫煙を巡って自民党内が揺れています。山東氏が会長を務める議員連盟は対策を強化する厚生労働省案の早期成立を求めています。一方、野田氏をトップに据える議員連盟は「たばこを楽しむことも国民の権利」と反発。党の重鎮を巻き込んだ論争が過熱しています。
「とにかく日本が受動喫煙ということに関して非常に遅れているというような、最低レベルであるというようなことを私どもも認識いたしておりますので」(自民党 山東昭子 参院議員)
 8日、自民党の「受動喫煙防止議連」が緊急総会を開きました。山東会長は受動喫煙対策について「努力義務だけでは限界が来ている」として、対策強化を盛り込んだ厚労省案の意義を強調しました。
 「たばこを吸わない方々の健康をどう守るのかということが大事なこと」(塩崎恭久 厚労相、先月24日)
 いま厚生労働省が示しているのは、「飲食店」の中を「原則禁煙」としてバーやスナックなどは小規模店舗に限り例外を認めるという案。これに対して、党内の一部からは強く反発する声が上がっているのです。
 「より原理主義的に進めようという内容であることでありますので、このままで通すわけにはいかない」(自民党 野田 毅 衆院議員)
 その急先鋒が自民党の「たばこ議連」。今月7日に緊急総会を開きました。厚労省案について出席者からは・・・
 「喫煙者にとっては人権侵害だ」(出席者)
 「喫煙文化を守ることも大事だ」(出席者)
 議連では厚労省案に対抗して「対案」をまとめました。
 「まずは禁止を前提にして、それから先に進めていくようなやり方はダメですよと。嗜好品でありますから、禁止薬物じゃありませんので」(自民党 野田 毅 衆院議員)
 対案では焦点となっている「飲食店」の扱いについて一律の規制は設けず、店側が禁煙・分煙、そして喫煙を選んだ上で看板などで表示する義務を定めています。
 受動喫煙対策をめぐる自民党内の議論はしばらく混沌としそうです。(08日21:05)


 要するに、受動喫煙対策をめぐって自民党内の議論が二分され混沌としている、という内容である。厚生労働相、「受動喫煙防止議連」(自民党・山東昭子会長)は「飲食店」の中を「原則禁煙」(バーやスナック、小規模飲食店は例外)とする、他方「たばこ議連」(トップは野田毅衆院議員)は「一律の規制は設けず、店側が禁煙・分煙、喫煙などの看板で表示する義務を定める」という意見である。この問題(混沌・対立)を解決する方法はただ一つ、民主主義の原則に基づいて「多数決」に委ねる他はない。ただし、その多数とは、「受動喫煙防止議連」の中に喫煙者が何人いるか、「たばこ議連」の中に禁煙者(未喫煙者)が何人いるか、ということである。「多数決」は「少数意見の尊重」を前提としている。「少数意見の尊重」とは、《つねに相手の意見・立場を尊重する》ということであり、自分は喫煙者であるにもかかわらず「禁煙」を主張し、禁煙者であるにもかかわらず「喫煙」を主張しているとすれば、その意見は《傾聴に値する》。禁煙者が禁煙を主張し、喫煙者が喫煙を主張することは《当たり前》であり、単に《自分の意見・立場》を主張しているに過ぎない。 
 さて、「受動喫煙防止議連」の中に喫煙者は何人(何%)いるか、「たばこ議連」の中に禁煙者(未喫煙者)は何人(何%)いるか。もし、一人以上いたとしたら、その議員同士で議論を重ね、結論を出せばよい。無駄な対立・混沌を避けるために、他の喫煙・禁煙議員連中は傍聴に徹することが肝要である。(2017.3.9)