梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

安倍首相の《嘘》

 東京新聞2月28日付け朝刊(2面)に「森友学園側と距離おく首相 徐々に変わる国会答弁 『熱意素晴らしい』→『適切ではない』」という見出しの記事が載っている。安倍首相は、2月17日の衆院予算委員会で「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と述べたが、一週間後の24日には「学校の理念、パンフレットのようなものをちらっと見せられただけだ。詳細は全く承知していない」と変化し、10日後の27日には「(幼稚園運動会での『安倍首相頑張れ』との選手宣誓は)私は適切ではないと思う」「私が右翼的教育を称揚しているかのごとく(批判される)。これは事実と違う」と述べた、という内容である。また、籠池泰典理事長との「関係についても、17日には『私の考え方に非常に共鳴した人』と好意的に説明していたが、態度を一変。24日には『そう簡単に引き下がらない方。非常にしつこい』『教育者の姿勢としてはいかがなものか』と突き放し、個人的関係も否定した」とも記されている。
 安倍首相の「徐々に変わる国会答弁」は、しどろもどろで見苦しい限りだが、その中には《嘘》が含まれている。彼の本心はあくまでも17日の「森友学園の教育に対する熱意は素晴らしい」、理事長は「私の考え方に非常に共鳴した人」という答弁であり、まさに事実として「右翼的教育を称揚している」のである。しかし、安倍首相はそのことに気づいていない。あるいは気づいていない振りをして、誤魔化している。いったん嘘をつけば、その嘘を繕うためにさらに巧妙な嘘を考える。「態度を一変」すればするほど、国民から「首相の姿勢としてはいかがなのものか」と突き放されることに、気づいていない。 
 安倍首相の最大で致命的な《嘘》は、17日に「私や妻、事務所を含めて一切関わっていない。関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と明言したにもかかわらず、未だに《辞めていない》ことである。森友学園と安倍首相との「関係」は、どのように言い繕っても、否定できない紛れもない「事実」なのだから。(2017.3.1)