梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私の戦後70年・生徒会役員選挙

 高校三年になった新学期、私は文芸部の仲間を誘って生徒会役員の選挙に立候補した。「高校は大学の予備校ではない、本来の高校生活を楽しもうではないか。学校はただちに受験教育を止めるべきである。学業成績による序列にとらわれず、本当の学問を始めよう。文化、スポーツのサークル活動を活発にし、個性を伸ばそう」と訴えた。会長候補は私一人、副会長、会計、専門部役員候補にも文芸部員を立てたが、結果は惨敗・・・。かろうじて副会長候補のK君一人だけが当選してしまった。この選挙、対立候補がいない場合でも「無投票当選」とはならない。K君以外は、私を筆頭にすべての候補者が「不信任」されたのであった。意気消沈した文芸部の部室にK君が入ってきた。「ヤバイヨ、これからどうする?」「やるしかないぞ!」、かくて一同は自分たちの夢をK君に託すことになったが、極めて公明正大な選挙であったことは間違いない。私はこの時、民主主義のイロハを学んだのである。(2015.5.3)