梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型肺炎(コロナウィルス)の《不安》・5・再発、再感染

 東京新聞2月27日付け朝刊(3面)に、「広東省退院患者14%再び陽性に 暫定調査警戒呼びかけ  大阪の女性ガイド 検査で再び陽性に」という見出しの記事が載った。これまで新型コロナウィルスによる肺炎は「8割が軽症」のまま完治(自然治癒)するとされてきたが、その前提が覆る出来事で、見逃すことはできない。記事によれば「広東省疾病センターは25日、省内の暫定調査結果として、複数回の検査で陰性が確認され退院した患者のうち、14%がその後の検査で陽性に戻ったと明らかにした。専門家は再発、再感染の可能性があるとして警戒を呼びかけている」とのことである。さらに、それは「対岸の火事」ではなく、日本国内においても「大阪府は26日、1月に新型コロナウィルスの感染が確認され、一度は退院した大阪市の女性ガイドが、喉の痛みなどを訴え、同日の検査で再び陽性になったと発表した」。つまり、新型コロナウィルス肺炎は、一度快方に向かっても完治せずに再発する、やっかいな疾患であることが証明されつつあるのだ。
 そして今や「市中感染」の段階であり、国内全域で、誰がどこで罹ってもおかしくない状況が生まれつつある。中国の専門家は「警戒を呼びかけている」そうだが、日本の専門家は何をしているのだろうか。
 為政者は「今後2週間が感染拡大を防ぐ正念場だ」としているが、国民の誰もが「それは無理だろう」と感じている。すでにパンデミック(世界流行)になっており、一国の(姑息な)政策で解決できることではないだろう。世界の人類そのものがターゲットにされているといっても過言ではないのだから、今こそ世界の叡智を集め「一致団結」すべき時なのである。急遽「2020東京オリンピック・パラリンピック」は中止し、「世界〈新型コロナウィルス〉対策作戦会議」を開催して、犠牲者を少しでも減らすように尽力するべきだ、と私は考える。それとも、いまだに致死率は2%を強調し「死ぬべき人が死ぬだけだ、国益(開催収益)は守らなければならない、ただ粛々と予定をこなすだけ」などと言って、国内だけで20万人~60万人の死者をもたらすか。二つに一つの選択を迫られているのだが、そのことに気づいている為政者は見当たらない。 
(2020.2.27)