梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型肺炎(コロナウィルス)の《不安》・1・「ダイアモンド・プリンセス」

 東京新聞朝刊(1面)に、「クルーズ船の3700人 19日まで待機要請 新型肺炎」という見出しの記事が載っている。クルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」には約3700人の乗客乗員が乗っており、そのうち乗客は日本、香港、台湾を含む56の国と地域の人たち2666人(日本人は1281人)だが、その中の10人に新型コロナウィルスの陽性反応が出た、ということである。記事では「乗客乗員約3700人を検疫し・・・」とあるが、正確には、273人(有症者120人と濃厚接触者153人)の検体採取を終え、その結果判明が31人で、その中の10人に陽性反応が出たということである。したがって、まだ約3700人のうち31人、すなわち1%弱の結果しか判明していない。今後ますます陽性反応者(=感染者)が拡大していくことは明らかだ。31人中10人だから出現率は、なんと33%強、273人中では160人強になるおそれがある。それも感染者は検体提出者273人以外には「皆無」であることを前提とした話で、すでに感染者10人は下船しているとはいえ、まだ船内にいる感染者のウィルスが次々と乗客乗員に拡散していくおそれは否定できない。
 約3700人のうち、乗客は2666人(日本人1281人)、残りの1000人余りは乗員(スタッフ)ということになる。さすがは豪華客船、世界中56国の富裕層が集まる空間だが、そこがひとたびウィルスに感染されたときどのような人間模様が展開するのだろうか。もし、273人の他にも感染者がいたとしたら、「19日まで待機(隔離)」という方策が裏目に出て、感染者が1000人以上に拡大するかもしれない。
 以上は、新型コロナウィルスの「量的拡大」の話だが、要は「症状の悪化」に対する考察である。つまり、そのウィルスに感染・発症に対する治療法は開発されているのか、重篤化、致死率はどの程度なのか。インフルエンザ、あるいは熱中症など、他の疾病と比べてどうなのか。死者の数だけを知らされても「不安」は募るばかりであろう。
(2020.2.6)